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ディズニーの経済史: スターウォーズのシークエル・トリロジーが面白くなくても儲かる理由
さて、写真の人物は誰だかご存知だろうか?
正解は、ディズニー現CEOのボブ・アイガーだ。
ボブ・アイガーと言えば、ジョブズでお馴染みのアップル社の前取締役であり、一時トランプ政権にも首を突っ込んでいた人物だ。
元アップル社だが、ジョブズというよりジョン・スカリーやティム・クックに近いビジネス寄りのエスタブリッシュな人間だ。
このアイガーの戦略が踏襲するのが、前ウォルト・ディズニー社のCEOであったマイケル・アイズナーである。
そう見出しの記事の写真の人物だ。
実はウォルト・ディズニー社はこのアイズナーによって、今日我々が知る時価総額がとんでもないディズニー社の経営の基礎を築いた人物だ。
実は創業者でアーティストであったウォルト・ディズニーは生涯いや、少なくとも経営者の間にビジネスとして安定的な収益を上げていたわけではないようだ。
彼の苦難は生涯尽きることがなかった。
アイズナーはディズニー社のCEOになるとその類い稀なる経営手腕を発揮し、ディズニー社という一大帝国を築く。
アイズナーの戦略は、「面白い脚本さえあれば安い人件費のキャストでも成功できる!」とし、少し人気が下がり始めた役者をどんどん抜擢した。
これは作品の芸術性やコンテンツの唯一無二性よりも収益を安定させることに重点を置く方針にシフトさせたこてを意味する。
この読みは経営的には見事に的中し、ディズニー社の株価はどんどん上がっていった。
一方で創業者ディズニーの想いとは異なるベクトルであったため、前CEOのウォルトの甥を始め、創業者一族から幾度となく非難を浴びせられた(この一連の騒動を米国FOXのアニメ「ファミリーガイ」がよく「ディズニーは○○が嫌い」という小ネタでいじっている)。
では、このアイズナーを踏襲したアイガーが取る戦略はこうだ。
「保有コンテンツを使い倒し骨の髄までしゃぶる」
である。
結果、買収したコンテンツであるスターウォーズでさえ、
マレフィセントなど近年ディズニー社が送り出す「メジャーコンテンツの焼き直し+オリジナルストーリー(のプラットフォーム)=そこそこのヒットは(既存ファンのおかげで)見込めるという方程式に当てはめられた。
このため、スターウォーズというコンテンツに含まれていたイノベーションの要素や驚きと感動を代償に、興行収益的な大ヒットを飛ばしている。
全く素晴らしいことだ。
気づけば、スターウォーズのシークエルトリロジーはジョニー・アイブ(アップル前CDO)が抜けたようなアップル製品のようなUXに仕上がっている。
しかし、悲しいことに、期待は出来なくとも私のように既にスターウォーズに魅了されてしまった人間は、スターウォーズと名がつけば観に行くし、今後もショボい内容のスターウォーズが公開され、その度にヒットを飛ばすのだろう。
このトレンドはまだまだ続きそうだ。
(このコンテンツはバイオサイエンス系のサイトのLigandsのクローズに伴い、noteに移管しました)
Written by Daiki A. Suzuki