2023/7/18 気になるニュース⑭ イギリス TPP正式加入、TPP加入のメリット、RCEP、IPEFとの違いは?
⭕ イギリスTPP正式加入について簡単にまとめてみました。
① イギリスTPP正式加入
⭕ 英国は2020年にEU離脱後、経済的利益を求めてTPPに加入申請。TPPの参加国による閣僚会議は16日にニュージーランドの最大都市、オークランドで開かれ、イギリスの協定への加入を正式に決めました。
② TPP加入のメリット
★ 英国のメリット
⭕ 英国のTPP加入の最大のメリットは、EU離脱後の落ち込んだ英国経済の「経済成長」と強権国家に対する「経済安全保障」の為と言えるでしょう。
● 英国はなぜEUを離脱したのか?
英国がEUを離脱した最大の理由として、シェンゲン協定により移民、難民が自由に英国に渡ってこれてしまう為、英国民が職を奪われてしまったり、治安が悪化したりと、国民の不満が爆発したからです。移民に対しても、英国人と同じような権利を与えられる為、自尊心の高い英国人は我慢が出来なくなったと思われます。
また、欧州中央銀行(ECB)に金融政策を管理されてしまい自由な金融政策が出来ない、EUの中でも比較的小規模な国家や財政難の国家に振り回されてしまう事を嫌がったからでしょう。国内で法律を作ろうともEUのルールに阻まれたり、気に入らないEUのルールも受け入れなければならない。
2016年に国民投票によりEU離脱が決定し、2020年2月に離脱となりました。
しかし、離脱によりEUに対し輸出競争力を失い、経済的成長には大きな痛手を受けます。ここに来てEU離脱による最大デメリット「関税の復活による輸入物価の上昇」が尾を引き、またロシアのウクライナ侵攻も重なり、2023年2月の英国のインフレ率は10%強(7月現在は8.7%)となり、国民の生活は圧迫されています。
いまさらEUには戻れない。でも自由な国政を敷きたい、物価の安定と輸出競争力を取り戻したい。2017年に米国の抜けたTPPに狙いをつけたという事です。
★ 日本のメリット
⭕ 岸田総理は「コメが売れる」と大喜びでしたがw
後述しますが、単なる経済枠組みではなく、実質的な日英同盟につながる提携となったのではと考えます。
⭕ 英国と関係の深い「トヨタ自動車」「本田技研工業」の7/18の値動き
思った程の影響はでませんでした。
トヨタ自動車(7203) 2,244(前日比+22)
本多技研工業(7267) 4,220(前日比+22)
⭕ 英国政府が昨年、2030年から国内で(HEV)ハイブリッド車販売禁止を打ち出し、トヨタが撤退するとの情報がありましたが、ここに来て撤回する可能性もあります。EV市場にも最近大きな変化が出始めたからです。
③ TPPの意義、RCEP、IPEFとの比較
⭕ TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が発足した理由を簡単に言えば、米国と日本による対中包囲網を作る事です。
「PCEP」と根本的に違うのは地政学リスクに経済安全的保障が脅かされないよう考えられた枠組みです。簡単に言えば、TPPは、非民主主義国の中国、ロシア、北朝鮮などが加盟出来ない設計となっています。
(中国は台湾への嫌がらせでTPPに加入申請しています)
「IPEF」は経済安全保障面が強く、米国主導で有るため、関税協議は対象外となっている。
⭕ 米国は当時のトランプ大統領の「アメリカファースト」発言にもあるように、自国産業を優先する為(関税をかけないと安いモノがどんどん米国内に入ってしまい、自国産業が発展しない)2017年にTPPを離脱をしてしまいましたが、今度は英国がTPPに加入する事により、中国に対して弱腰であった日本の大きなバックアップとなります。
英国は核保有国でもあり、台湾有事を未然に防ぐ為には大きな味方となりそうです。台湾有事は日本有事です。
⭕ 超簡単比較
● インド太平洋経済枠組み(IPEF)
加盟国に米国、インド、米国主導、中国抜きの枠組み
貿易、供給網、クリーンで公平な経済を重点に置く
関税協議は対象外としている
● 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
加盟国に中国、中国主導、米国、インド抜きの枠組み
地域の貿易・投資の促進及びサプライチェーンの効率化に重点を置く
ASEAN間貿易が主
● 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
(CPTPP)
アメリカが抜けた後につけた現在のTPP本来の名称。頭にCPをつけ「先進的」を意図している。あまり普及はしていない。TPP11、英国が加入した現在のTPP12とほぼ同義。
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