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夏と夜

夏は苦手だ。

暑さで汗が止まらない。
セミの鳴き声で耳が痛い。
蚊に刺されたら痒さで平静を保てない。
満員電車のねっとりとした空気は苦痛。
どこに出かけるのも億劫。

わたしは冬が大好きなのに。
なぜ今年もこんな暑さに晒されなければならんのだ。

四季は要らない。三季が良い。


でもわたし、夏と同じくらい、もしかしたらそれ以上に、夜が苦手だ。

夜には魔物がすんでいて、わたしがわたしでなくなってしまう。
知っているはずの物も人も、その様相を変える。

夜は苦しい。険しい。

いまだに向き合い方がよくわからないから、わたしはなるべく夜を避けている。


夏は、夜が短い。

朝起きたら外はもう明るい。
日が暮れるまで、じっくりと一日を過ごせる。

夏は苦手だけど、夏はわたしをわたしのままで受け入れてくれる。
夜の魔物からわたしを守ってくれる。


今年は、夏に、ありがとうって伝えてみよう。

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