固定資産税収の「増収」の裏側 ── 本当に私たちのためか?
「子育て支援の充実」「インフラ整備」といったキャッチーなフレーズが並びますが、果たして税収増は住民の生活向上につながっているのでしょうか。
税収増の背後にある政府の「狙い」を考えてみます。
1. 「子育て支援の充実」── 誰のための政策か?
自治体が増収分を子育て支援に活用することは一見素晴らしい話に聞こえますが、その実態はどうでしょうか?
政策は単に「人口維持」「労働力確保」のためであり、国の少子化対策にすぎません。
自治体にとっても税収を増やす手段でしかなく、本質的には地域住民の幸福が主眼ではない可能性が高いのです。
つまり、支援が一部の世代に偏っていることで、他の住民層にはさほど恩恵が回ってこないのが現実です。
2. 地価上昇の負担は誰に?
地価が上がることで固定資産税の税収が増えますが、実際の負担をするのは企業進出で直接利益を得るわけではない一般住民です。
住民が住み慣れた土地に住み続けるために支払うべき税金が増え、年々の税負担がじわじわと家計を圧迫しています。
さらに、収入が限られる高齢者の住民や、年収が低い層にとっては、地価上昇の恩恵はほとんどありません。
こうした住民が耐えられずに移住することになれば、地域コミュニティの崩壊にもつながりかねません。
3. 企業誘致と環境問題の隠れたリスク
政府や自治体は企業誘致に熱心ですが、これは企業からの税収が魅力的だからです。
しかし、企業誘致が進む地域では、企業活動による環境への悪影響や生活環境の変化も生じます。
大規模な企業が進出することで、交通渋滞や騒音、空気汚染といった問題が増え、住民の生活環境が悪化する可能性があるのです。
こうした問題への対策には、多額の追加予算が必要になる場合もありますが、住民に対する説明や対策は不十分なケースが多く見受けられます。
「誘致による税収増がインフラ整備に使われる」といっても、これは企業進出による新たな問題を解決するために投入される部分が多いのです。
4. 「増収に依存する自治体」からの脱却はあるのか?
自治体の多くが増収に依存しており、企業進出を増やすことばかりを追求しているように見えます。
しかし、一旦誘致した企業が経済変動で撤退する事態があれば、その影響は甚大です。
たとえば、経済が悪化したときに企業が移転・撤退してしまえば、増収どころか財政の大幅な落ち込みとなり、住民サービスの低下やインフラ維持が難しくなるのが現実です。
こうした「依存型経済」の体制は、自治体の不安定さを露呈しており、持続的な財政運営が見込めるとはいえません。
結論:地域住民にとっての真の価値とは?
政府や自治体が発表する「増収効果」の裏側には、住民にとって不都合な点も多く隠されています。
地価上昇や税収増といった「経済的成果」が本当に住民に還元されているのか、あるいはその裏で住民が知らずに負担を強いられているのかを見極めることが必要です。