多動力とは 精神科医からの視点
1987年うまれの半数が97歳まで、2007年生まれの半数が103歳まで生きるとされている。
そしていくつもの選択肢から選べる時代だ。
街には様々な出会いが溢れる。
新卒就職率98%、転職市場も充実。自由に就職、転職ができる。
海外に移住することも出来る。
いくつもの選択肢から選べる時代だ。
この長い人生で充実した人生を送るにはどうしたら良いか。
そう、選べばいい。自分が望むものを。ポーカーでジョーカーを探すように。何度でも、いくつでも。納得するまで。
しかし殆どの人は一度決めたらそれから変えないし、他の選択肢を忘れようとさえする。
確かに昔はこうはいかなかった。
宗教変える→踏み絵→投獄→死ぬ
農民から商人に変える→身分下がる、周りが許さない、ノウハウない→死ぬ
藩出ていく→脱藩→投獄→死ぬ
なので
変えちゃえばいいんじゃね???
のような考えの人間が淘汰されていくのは自然だ。(特に古くからムラ意識の強い日本は)
変えることは怖い。
もっていてもしょうがないけど、失うのは恐い。
のような考えが広く受け継がれていったわけだ。
行動経済学的にも確認されている。同じ価値をもつものでも、失うことの恐怖のほうが同じ価値のものを得る喜びより程度が大きい。だから何かを失うことを想定すると行動ができなくなる。
最近、堀江貴文氏の多動力という本が話題になった。堀江氏は間違いなく、江戸時代なら淘汰されていった側の人だ。
活発に動き回ることがfocusされてしまいがちだが、多動力の本質とは「失うこと」を恐れないで別のものを探しに行ける力だ。後天的な要素もあるがある程度遺伝的に規定された脳の構造の違いだ。淘汰されずに残っていた遺伝子だ。(ドパミンD4受容体遺伝子の第三エクソンで規定されている)
だから多動力とはみんなの普通の状態とは違う。
僕は半分だけ多動遺伝子をもっている。
起業をしようとして今の僕は通常のコースから外れたことで、医師としてのキャリアはゆっくり閉じられつつある。そのことに両方多動遺伝子を持っていればなんの躊躇もないかも知れないが、知人がfacebookなどで頑張っている姿を知るたびに胸が苦しくなることもある。半分だけ持つとこういう状態になる。
なので多くの人にとって、何かを変えたいと思うのはそれだけ何かを失うことを覚悟して何かを得るということだから相当なエネルギーが要る。
想像して欲しい。何かを変えている自分を。不安と期待と入り混じったなんとも居心地の悪い状態だ。でもそこでゆっくり考えてみる。
失おうとしているものは本当に自分にとって大事なものなのか?
失おうとしているものはただ所有効果(前回参照)によっていいように、見えているだけではないのか?
何かを失おう、そしてもっと大きなものを取りに行こう。
P.S.精神科医としても多動力の発揮をお勧めする。
①離婚するなら出産前に!
パーソナリティ障害には親の離婚や不和が大きく関係している。
②辛いと思ったら環境を変える!
その仕事はあなたの人生を賭してやらなければいけないことなのか?体を壊してやるべき仕事なのか?もしそうではないのなら環境を変えてみる。一度うつ状態になるとうつは再発しやすく、そこからの完全な改善は難しい。
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