いまだに消えぬ熱い思いを込めて『印刷ボーイズに花束を』を紹介します。
■はじめに
早いもので、単行本『印刷ボーイズに花束を』が発売されてもう2年以上が経ちました。
2016年9月1日(印刷の日)から、GetNavi webで連載をしている印刷会社を舞台にしたコメディ漫画「今日も下版はできません!」をもとにした単行本の第3弾です。
シリーズ最高傑作と言っても過言ではない本作。最近、僕はあることに気がついたのです。
なぜか『印刷ボーイズに花束を』の重版がかからない!
どうしてだろう。シリーズ最高傑作と、自信を持って世に送り出したのに……。内容は絶対に面白い(はず)。
だったら理由はひとつ。
存在を知られていない!
本は著者にとって子供のようなもの。子供の幸せが親の幸せ。本にとっての幸せは「より多くの人に読んでもらうこと」であり、それが著者の幸せに他ならないのです。
それに、今なおWeb連載は続いていて、第四弾を出せるボリュームも揃いつつあります。第四弾出版への気運を盛り上げるためにも、そして連載執筆のモチベーションUPのためにも、『印刷ボーイズ』シリーズをより多くの人に知ってもらい、できればご購読いただきたいと思い、ちょっとした制作ウラ話などを交えて、今更だけどnoteに、本の紹介を書いておこうと思ったわけです。
第一弾『いとしの印刷ボーイズ』と第二弾『印刷ボーイズは二度死ぬ』への熱い思いを記したnoteは下記からどうぞ。なぜか第三弾だけnoteで紹介していなかった……。
何事も遅すぎることはない! ということで、前置きが長くなりましたが『印刷ボーイズに花束を』を熱い思いを込めて紹介します。
■タイトル&カバーについて
●タイトルは一目惚れ! 実は別案もあった!
プロデュース・編集をしていただいた石黒謙吾さんがたくさんのタイトル案を送ってくれて、その中から僕が一目惚れで「これだ!」となったのが『印刷ボーイズに花束を』でした。
この作品を2016年から描いてきた僕の、印刷業界やそこで働く人たちに対する思いを、見事に表現してくれているタイトルだと思います。
ちなみにタイトル案最終候補には『その男、印刷ボーイズにつき』『CMYKの悲劇』なども。どれも魅力的で、当初はみんなで意見が割れたんだけど、僕としてはやはり『印刷ボーイズに花束を』一択だったのです。
●カバーには「印刷あるある」な仕掛け
そしてカバー。印刷仕事の経験がほんの少しでもある人なら、書店でもネットでも絶対に素通りできない「赤字」だらけのカバーです。
これはデザイナーの川名潤さんのアイデア。カバー裏にはこの赤字を受けての再校が…。刷元さん(本作の主人公)がもはや別人になってしまっています。
しかも、これはナビ印刷製版部の仕事、画像補正(実際はイラストだけど、刷元さんの写真に対する赤字という設定)なのです。仕上がり外にある作業者蘭には墨賀さん(ナビ印刷の製版進行係)の名前も入っている徹底ぶり。
そして入っている赤字は、全て僕の手書きです。「ゴミ汚れ注意!」は、僕が印刷営業時代に下版のたびに責了紙に書いていた文言。まさか自分の漫画単行本に書くことになるなんて思っていませんでした!
■漫画は本編と描き下ろしエピソードも!
本編漫画は、Web連載の第61話〜90話までを収録。「印刷あるある」な小ネタはもちろん、「え? そんなことに印刷が関係していたの?」なんていううんちくもあります。プロローグとエピローグには描き下ろしエピソードも。
また、理不尽な編集者やRGB女子に苦戦する「レシピ本編」。あるキャラの意外な過去、さすらいのPDも活躍する「活版印刷編」。更に、刷元の印刷への思いが垣間見える「同人誌編」と、中長編エピソードも充実しています!
なお、活版印刷編では「中村活字さん」、同人誌印刷編では「ねこのしっぽさん」に取材協力いただきました。心から感謝申し上げます。ありがとうございました!
■欄外コンテンツも充実!
そして『印刷ボーイズ』シリーズの特徴でもある漫画以外のコンテンツも本作ではパワーアップしています。
巻頭付録には一部の人に役立つ「印刷ボーイズ特製 オリジナル手描き校正表」が! 校正する時に手元にあれば心強い味方になります。ミシン目に沿って切り取って携帯もできるありがたい作りになっていますw
ちなみに、この校正表付録、本作のWeb連載スタートのチャンスをくれた、『印刷ボーイズ』シリーズ生みの親と言っても過言ではない、版元のワン・パブリッシング・松井謙介さんの発案。こうして本という形になって本当に嬉しかったです。
小口側には印刷にまつわるミニコラム「印声人語」。クイズ「印刷王ウルトラクイズ」が。本編漫画を読みながら楽しんだり、漫画を読み終えた後にじっくり楽しんだりできます。
クイズのネタは、連載から常に支えてくれている、前職時代の同僚に協力してもらいました。感謝です。
そして、巻末には印刷用語の辞典「印辞苑」。難解な印刷用語から、よく目にするけど実はよくわからない、今更聞けない基本用語、そして懐かしの「絶滅系印刷用語」まで、びっしりと網羅しています。また、知らなくても良いけど、知っていたら印刷雑談が必ず盛り上がる「印刷豆知識」も収録されているので、1ページ毎の情報量が半端ない!
■おわりに
今回、紹介するために再度『印刷ボーイズに花束を』を読み返してみたところ、手前味噌かもしれませんが、やっぱり面白いんですよ! ただの漫画ではない、ずっと長く手もとに置いて楽しむことができる本です。
今回の記事で『印刷ボーイズ』シリーズを知ってくれた方が一人でもご購読いただき、末長くお付き合いいただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
また、既に応援していただいている印刷ボーイズ&ガールズの皆さま、更に書評レビューや拡散などで熱く応援していただけたらありがたいです。
Web連載「今日も下版はできません!」も不定期ですが続いています。今後も頑張っていきます。引き続きよろしくお願いいたします!