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抽象化しすぎない(11/4)

気づきのきっかけ

何かについて考え込んでいると、結局、解決策も見つからず、気分が落ち込み、行動する気がすべて失せてしまうことがある。常に心掛けているのが、現実を抽象化しすぎないこと。

適当に認識しない

日々の生活の中で、人は様々な思考をめぐらせている。通勤電車の中の広告でも、「人生の意味」「運命」について堂々と語られている。

この抽象的な問いについて、1h考え込んでも、結論は出ない。これは当然のことで、あまりに漠然とした問いには、具体的な答えを見出すことができない。仮に「今週末までに片付けたい仕事を3つ」と考えていれば、たった10分で具体的な行動計画を立てることができただろう。

例えばスーパーマーケットのレジ待ち行列で、客の数は約12人。一人あたりの会計処理時間は平均して40秒ほどだ。この状況で「待ち時間が長い」と漠然と考えるのではなく、「およそ8分待つ必要がある」と具体的に捉えることで、その間にできることを考えられる。

抽象的な思考がもたらす問題は、職場でもよく見られる。「コミュニケーションを改善する」という目標を掲げても、具体的な行動には結びつきにくい。しかし「毎日3人の同僚に挨拶をする」という具体的な目標なら、実行も評価も容易になる。

人の記憶力についても同様のことが言える。「最近物忘れが多い」という抽象的な認識は、改善のためのアクションにつながりにくい。一方で「先週は予定を3回忘れた」と具体的に認識できれば、カレンダーアプリの活用など、具体的な対策を考えることができる。

料理のレシピを見ても、思考の具体性の重要さがわかる。「適量の塩を加える」という抽象的な指示は、「小さじ4分の1の塩を加える」という具体的な指示に比べて、失敗する確率が数倍ほど高くなる。

思考の抽象度は、問題解決の効率にも大きく影響する。「交通渋滞を解消したい」という抽象的な課題に比べ、「朝7時から8時の間の○○交差点の待ち時間を2分削減する」という具体的な課題のほうが、解決案を考えやすい。

人間関係の悩みでも、同じことが言える。「あの人となんとなく相性が悪い」という抽象的な認識では問題は解決しない。「会議の場で意見が食い違うことが月に2回ほどある」と具体的に把握できれば、対策を考えることができる。

創造的な活動においても、具体性は重要だ。「面白い物語を書きたい」という漠然とした目標よりも、「主人公が30分で解決すべき具体的な課題がある2000文字の短編を書く」という具体的な目標のほうが、作品完成の確率は数倍ほど高くなる。

ただし、これは直感や創造性を否定するものではない。アイデアの初期段階では、自由な発想も必要だ。しかし、そのアイデアを実現可能なものにするには、具体的な数値や行動に落とし込む必要がある。理想は、発散的思考と具体的思考を、7対3程度の割合で組み合わせることだ。

結局のところ、思考は雲のようなものだ。放っておけば広がって形がなくなってしまう。それを有用なものにするには、具体的な形に凝縮する必要がある。数字や具体的な行動で表現できない思考は、ただの妄想と同じだ。

P.S

無理やり結論や答えを生み出す必要はない。常に世界は理解の余地を持っているから。


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