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私の小さな本屋さん

こんにちは

身の上話で恐縮なのですが、普通のサラリーマンの私が2年ほど小さな本屋をしていたことを書きたいと思います。

本屋といってもそんなご大層なものではなく、棚の一部を借りてそこで自分の蔵書を売るという感じです。

いわゆる「貸棚」というものなのですが、以下簡単に説明したいと思います。

「貸棚」とは販売スペースを提供してくれる方に対し、一定のレンタル料を支払って本棚の一部を借り、そこで自分の蔵書を販売する制度のことです。
販売する値段は自分自身で決めることができ、シェア型書店とも呼ばれます。

形式や形態は個々で多少の違いはあるのですが、概ねこの説明で合っていると思います。
この「貸棚」という制度を使えば、誰でも気軽に本屋の店主になることができるのです。

貸棚をする前は家に増え続ける書籍を定期的にブックオフで売っていた私。
自分の思い入れのある書籍たちをただただ漫然と売ることにどこか不満を抱えていました。

そんな時にたまたま「ガケ書房の頃」(山下賢二 夏葉社 筑摩から文庫も出ています)という本を読み、その中に貸棚ことが書いてありました。
ちょっとしたスペースを借りて手軽に自分の本屋ができるなんて理想的だなと感じました。


偶然は重なるもので、
丁度同じ時期に家から最寄りの駅の間に無人の書店ができており、何気なく入ってみることがありました。
店内はそこそこ広く、ぼんやりみて回っていると、何と「あなたも貸棚を始めませんか」というチラシが置いてあるではないですか。

その書店は登録すれば、決まった時間にいつでもお店に入ることができ、各棚は全て一般の人たちが棚を借りてそれぞれの方が蔵書を販売している夢のような空間でした。

各棚はそれぞれの人の個性が出ていてとても興味深いものでした。棚にポップをつけるなど工夫していたり、中にはDIYで作った棚を持ち込み自分の棚を上下段で区切ってより書籍を置けるようにしている強者もいました。

私は渡りに船とすぐさまチラシの連絡先に問い合わせ、貸棚を始めることにしました。
手続きも自分の情報を登録するだけといたって簡単で、準備も自分が売りたい書籍を用意し、値札を作成して書籍に添付するだけでした。
実際に始めると意外と売れ行きが良く、最初の1週間で7〜8冊ほどが売れました。

私自身はポップをつけるなど凝ったことはできず、ただ棚に本を陳列していただけだったのですが、本が初めて売れた時はとても嬉しかったと記憶しています。
また、次はどの本を並べようかなと考えている時間は楽しかったです。
書籍の補充の際に他の貸棚の店主の顔を合わせることもあり、同じラインナップでも定期的に本の場所を入れ替えた方が良いなどアドバイスを頂くこともありました。

会社の移動で残念ながら、貸棚をやめることになってしまったのですが、約2年間で200冊以上が売れ、それが誰かの手に渡ったという貴重な体験をすることができました。

貸棚は最近メディアでも取り上げられることも増え注目度が高まっています。私が貸棚を始めた2022年に比べてその数も増えてきている印象を受けます。

誰でも手軽に本屋の店主になれるこの制度、あなたも始めてみてはいかがでしょうか?

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