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起立性調節障害について

こんにちは。かみれ先生です。

今日は、起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)についてお話ししていきます。

不登校や、それに至るまでの体の不調を通して、どこかで聞かれたことのある病名かもしれません。
また、特に朝の体調不良が原因で学校に行けていないお子さんの中には、実際に起立性調節障害と診断されている方もいるでしょう。

起立性調節障害の症状

起立性調節障害の症状はいろいろありますが、主に
・朝起きられない、午前中調子が悪い
・立っていると気持ち悪くなり、ひどくなると倒れる
・少し動くだけで動悸や息切れがする
・倦怠感が続く、疲れやすい
・頭痛
などが、よく聞かれる症状です。

特に最初の「朝起きられない、午前中調子が悪い」という症状が、学校に行けなくなる原因になりやすいのではないでしょうか。

起立性調節障害の原因

起立性調節障害は、体の病気です。
ただし、病気、と言われると、特にお子さん本人はとても不安になってしまうので、かみれ先生はよく、「体質」という言葉を使って説明しています。

いずれにせよ大事なのは、朝起きられなかったり疲れやすかったりするのは体に原因があって、けして「仮病」や「怠け」ではないし、「気の持ちようだけでは治らない」、ということです。

起立性調節障害では、自律神経の働きのバランスが崩れることで、体や脳に必要な血液を送れず、さまざまな症状を起こします。
このバランスの崩れがより症状として現れやすいのが、起立時(寝たり座ったりしていた状態から起き上がったり立ち上がったりするとき)なのです。

起立性調節障害の診断

まず大前提として、他の悪い病気がない、ということを証明する必要があります。
必要に応じて血液検査や画像検査を行い、他の異常がないことを証明したうえで、起立性調節障害と診断しなければなりません。
上にあげたような症状が合致するからといって、検査をしないまま「自分は起立性調節障害だ」と思い込んで病院を受診しないと、思わぬ病気で手遅れになってしまう可能性もあります。

起立性調節障害の症状に限らず、体に不調があるとき、特にそれが長引くときは、病院を受診することをお勧めします。

起立性調節障害が疑われたときに行うのは、「新起立試験法」という検査です。
これは、横になって一定時間安静にした後、急に立ち上がって、血圧や脈の乱れや、立ちくらみなどの症状が出ないかを調べるものです。

注意しないといけないのは、午後の検査では正しい結果が出ない可能性があるということです。
最初にお話ししたように、症状は午前中に目立つことが多いので、午前中、9時から12字の間に検査するのが望ましいのです。

かみれ先生のところには、時々、「別の病院で検査して、起立性調節障害ではないと言われました」という患者さんがいらっしゃいますが、先生の病院で改めて朝一番に予約をとって検査を行うと、しっかりと血圧の乱れが出て、診断に至ることがあります。

さらに起立性調節障害は、血圧や脈の乱れのタイプによっていくつかの種類に分けられるのですが、どのタイプに当てはまるのかを調べるためにも、この「新起立試験法」を行う必要があります。

起立性調節障害の治療

起立性調節障害の治療は、日常生活のくふうから始まります。
例えば、
・いきなり立ち上がらず(起き上がらず)、30秒以上の時間をかけてゆっくりと動作を行う
・歩くときにも、頭を下げたまま歩き始める
・できる範囲で、規則正しい生活リズムを心がける
・水分と塩分をしっかりとる

最後の「塩分」に関しては、最初に話したときは、だいたい皆さんびっくりされます。
ふつうは、「塩分を取りすぎないよう気を付けましょう」と言われることのほうが多いからです。
でも、体をめぐる血液の量を増やすためには、塩分と水分がたくさん必要なのです。

日常生活のくふうで改善しない場合、または、もともと症状の程度が強い場合は、お薬を使うこともあります。
お薬がある、ということでも、「起立性調節障害が、単なる怠け心や気合の問題ではなく、体の問題なのだ」ということが分かっていただけるのではないでしょうか。

使用するのは血圧を調整するお薬や漢方薬などで、症状に応じて量の調節を行っていきます。
薬がよく効く人もいれば、しばらくは不調な状態と付き合っていく必要がある人もいます。
でも、一生そのまま、という人はいませんので安心してください。
もし、不調が続くタイプだったとしたら、それは、「もっとゆっくりやっていこうよ」という、体からのSOSです。

最後に

起立性調節障害、という病気について、なんとなく分かっていただけたでしょうか。
もっと詳しく(ときには難しい言葉も使いながら)説明している人はたくさんいますので、気になった方、もっと専門的なことが知りたい方は、ぜひ調べてみてください。

そしてもし、「ひょっとして、あの子は気持ちの問題だけじゃなくて、体の病気が原因で学校に行けないのかもしれない」という子が身近にいたら、この病気のことを教えて、病院で相談してみるよう伝えていただけると嬉しいです。


2025年2月18日
かみれ先生

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