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オレの相棒(あいぼう) 第7回




「”ギャオオオオオ~~~~~!”」




成岡「コラッ!ハチ!  

   

   見せんか!暴れるな・・・」



成岡は、ハチが苦しんでいるのは、
”のど”の中に、何か刺さっていると、
直観的に感じて、


大きく怒りの声で鳴く
ハチを抱え込むと、
首筋を押さえて、
中を覗(のぞ)き込もうとするも、


一段と大きな声で鳴いて、
前足から爪を出して、

抵抗された成岡・・・



成岡「チビの時と違って、
   本気で抵抗されれば、
   もう抑えきれん。
  
   その気が、ヤツになくても、
   爪を出してるときちゃあ、
   今は、無理か・・・」



成岡から解き放たれたハチは、
少し離れると、上目づかいで、
成岡をみつめると、
その場に、伏せた。


隊員たちの何人かが、
心配で、様子を見に来るも


”迷惑だ!”


と言った感じで、
力なく立ち上がり、
フラフラとしながら、
部屋の外に出ると、



そのまま、冬の寒い、
兵舎内にある
庭の草原で、
腹ばいになると、
ぐったりとしていた。



成岡「下アゴから首筋にかけて、
   腫(は)れてるように見える・・

   どうも膿(うみ)が、
   出ているらしく、
   悪臭が、少しするな・・」



ハチ「ギャオ!」



心配した隊員たちが、
ハチのそばに駆け寄るも、
低い声で、威嚇(いかく)した。



ハチは、一晩中そこに居たので、
成岡は、部屋と草原を、
往復する夜を、送る事になった。



辺りが明るくなった頃、
成岡が、草原にいくが・・・



成岡「ハチがいねえ!」



ハチが姿を消していたので、
成岡は、隊員たちに協力を依頼。
しかし、兵舎内で、
ハチ発見の報告は、無かった。



成岡「野生動物は、
   死に際を見せない
   というが・・・

   ん~、いかんいかん。

   今は、とにかく探そう。」



草原中を、成岡がくまなく
探していると・・・・




「小隊長どの~~~!

  ハチがいました~~~!」




声の大きな、島崎伍長が、
後方から呼びかけ、
振り返ると、
島崎伍長が、指さしている
方向を見る成岡・・・



ニレの木近くの草むらに、
ハチが、ぐったりしてる様子で、
うつ伏せになっていた。



成岡「ハチ!大丈夫か!」




成岡が駆け寄ると、
昨日より、容体は悪化していると、
すぐわかるくらいの、様子だった。



下アゴから、首筋にかけての腫れが、
大きな腫れに、悪化していた。


それに加え、昨日より、
悪臭が強くなっていて、
近くによると、すぐわかる程だった。



ハチ「ハァ・・ハァ・・ハァ・・」



隊員たちが、そばに寄っても、
威嚇する声すら出せなくなり、
苦しそうに、大きく息をしている。



隊員たちも、
我が弟のように心配して、
周囲を取り囲むほど集まり、
それぞれに、心配の声を
発していた・・・



隊員「なんとかならんかな・・。」

隊員「苦しそうで・・見ていられん。」

隊員「のどに何か刺さってるらしいが・・
   取ってやれんものかのぉ・・」



成岡は、先ほどよりずっと、
ハチの様子を、
腕を組んで見ていた・・・



成岡(このままなら・・
   ハチは、間違いなく死ぬ。)




”ガン!”




成岡の脳裏に、
突如、響いて来た


”悲しい音”


その正体は、
8月に出会った、


”ハチの妹との、
 悲しい再会”


その時に、何度も聞いた、


”絶望の檻”を、
怒りと憎しみを込めて、
何度も、何度も、
前足の鋭い爪で、
叩く音だった・・・


成岡(そうだ・・・
  
   あの時・・・

   オレは・・・

   ”あいつ”に、

   誓ったんだ!)



(回想)


成岡「・・・すまねえ・・・

   その代わり・・・

   償(つぐな)いになるか、

   わからねえけど。

   お前さんの、

   ”アニキ”は、

   お前さんの分まで、

   愛情をたっぷり注いで、

   幸せにするからな。」

  


成岡は、ハチの妹に、
約束した自身の言葉を、
今、思い出していた・・・



成岡(この腕に抱いた、

   もう一人のハチを、

   あんな悲しい眼に、

   さしちまった責任は、

   オレにある!

   
   
   どうしたって

   ”あいつ”が、

   許してくれるとは、

   思わないが・・・

   
   
   この成岡正久!

   命に代えても、

   ハチの妹との、

   約束は守る!)


 


ハチ「ハァ・・ハァ・・・」



成岡「よし!決めたぜ!

   我が身なぞ、

   この際、どうなってもいい!」



隊員「小隊長どの?」



成岡「すまないけどよ、

   お前さんたち・・・

   
   もし、オレに何かあったら、

   故郷のオヤジ殿に、

   よろしく伝えてくれ。

   
   命をかけて!

   ハチを救う!」



隊員たち「やめて下さい!!」

    「小さい時と違うんですよ!」

    「ダメですよ!小隊長どの!」



隊員たちの声を聞いても、
成岡は、ハチのそばへと、
その歩みを止めなかった。





”やめねえか!お前ら!”




大きな声の主は、島崎伍長だった。



島崎「オレたちは、この人の、
   
   ”そういう所”にホレて、

   命預けてるんだろう!

   だったら、黙って見てろ!

   
   
   小隊長どの~~~!

   
   何かあったら、

   
   オレが、ご実家に、

   
   連絡しますので、

   
   ご存分に!」



島崎伍長の一喝で、
隊員たちは、黙って、
握りこぶしに力を込めて、
成り行きを、見守っていた。
 
      



”バサッ”



成岡が、軍服を脱ぎ、
更に、上半身裸になると、
着ていた衣服を、
その場に、叩きつけた。



成岡「島崎!いつもありがとよ!

   さてと・・・」



成岡が、特徴的な下アゴをなでる・・
裸の上半身には、戦場でついた、
無数の傷跡がある・・・




成岡「ハチ!お前を生かす為なら!

   オレは、お前に殺されたって、

   文句はいわねえ。

   行くぜ!ハチ!」



もがき、苦しむハチを、
無理やり押さえつけようとするも、
ひどく暴れているので、



ハチは、手加減していても、
苦しみで暴れている為、
前足の爪は、成岡の腕を切り裂き、
鮮血に染める・・・



更に、無理やり
口を広げようとするので、
自然、鋭い牙で、
手も、鮮血に染まる中・・




ハチ「ギャオオオオ~~~!」



成岡「よし!開いた!

    

   大人しくしてろよ。ハチ!」




成岡が、やっとの思いで、
ハチの口を広げて、
様子を見ると・・・


口の中は、熱に侵(おか)され
青白く、異様な腫れが、
確認できた。



成岡「かぁ~~!くせえなあ!」


ハチの吐く息が、
吐き気を、もよおす程の、
悪臭になっていた・・・


成岡は、”原因”を求め、
更に、口の中を探す・・




成岡「あった~~~!!」





奥歯の内側に、


”それ”は


刺さっていた。


”褐色の大きな異物”だった・・



成岡「よっしゃ!

   取ったぜ!」



素早く大きな異物を抜くと・・・




ハチ「ゲェェェェェェ~~~!」




異物を抜いた途端、
ハチは、ドロドロとした、
薄黄色の膿(うみ)を、
大量に吐き出した・・・




成岡「そうだ!ハチ!
    もっと吐け~~~~!」




ハチ「ゲェェェェェェ~~~~~!」




隊員たち「こりゃ、たまらん!」

    
    「取れたのはいいけど・・

      くせぇ~~~!」

    
     「おい!離れるぞ!」



ハチが、次々と吐き出す膿で、
耐えきれぬ悪臭は、
周辺一帯に広がり、


隊員たちは、その場より
遠ざかり、更に離れた所から、
見守っていた・・



成岡「ハチ!あとは休め!

   早く元気なって、

   ”任務”に復帰してくれ!」



ハチは、成岡を見ると、
ニレの木の下に、
力なく移動して、
その身を横たえた。



島崎「小隊長どの、
   大丈夫ですかい?」



(軍服を拾いながら)



成岡「オレの痛みなんか・・・
   どうってことねえよ。

   自分の痛みより・・
   他人の痛みの方が、
   ツライもんだぜ・・。」



成岡は、青空を見上げると・・



成岡「これで・・・
   
   いいかい?」




その後、ハチは、
ニレの木の下で、
一日中過ごした・・・



夕暮れになると、
隊員の一人が、
回復の祝いとして、


野鹿の肉片を、
投げ与えると、
ハチは、この祝福の品を、
受け取った。



今朝方と違い、
まだ、本来のハチとは、
程遠いが、
多少、元気が戻った様子であった。


ハチは、間もなく回復し、
いつも通りに、
”元気なハチ”に戻った。



そして、時はしばらく流れ・・・



その間に、ハチは更に、


たくましく成長して、


成岡と隊員たちとの、



”かけがえのない毎日”
を過ごす・・・



成岡は、そんなハチの成長ぶりを、


今、振り返り、


心の中で、一人語る・・・


(以下、しばらく成岡の心の声)




最初は、どうなるかと思ったが、



「ハチが、いてくれて

  本当にありがたいです!」



なーんて、隊員たちから、



褒め言葉が出るほど、


隊には、欠かせない存在となった。


陽新付近の警備は、重大な任務だ。


広範囲に渡る警備も、


ハチのおかげで、


だいぶ助かっている。


”疾風の如き”で、


サッと行ったかと思うと、


サッと帰って来る。


怪しい者を見かけると、


一撃の下に葬る。


敵方にも、


”猛将”ハチの噂は、


伝わっていて、


ここ最近、



敵の攻撃は皆無。



本当に、



我が隊のマスコットになった。



まあ、その反面、



まだ、トラックの音だけは苦手で、



あれだけは、どうにもならんらしい。



しかし・・・



オレが、街中に行くと、



連れて来ていないのに、



後で、街の連中に聞くと、



屋根の上に登ったりして、



見守って、いてくれたようだ。



そういう時は、オレに姿を見せない。



最近は、ヤツは遊びのつもりかもしれんが、



力では、敵(かな)わなくなった。



かわいいチビ助だ・・・



子どもだと思っていたら・・・



この隊にも・・・・



そして、なによりも・・・・



オレにとって、いつの間にか、




”頼れる相棒”になりやがった・・・・




そう・・・・





”オレの相棒に!”









ボク、”あいぼう”になったよ!













全長 : 16.1メートル

全幅 : 20.6メートル

全高  : 4.8メートル

最大離陸重量 : 15,000 kg

エンジン : ライト R-2600 ツインサイクロン
       空冷2,800馬力エンジン(2基)

航続距離 : 2,200 km(燃料タンク追加時は3,000 km以上)

最高速度 : 約 442 km/h

武装 : 7.62mm機関銃(最大6門)
     1,360kgまでの爆弾搭載可能



1939年、アメリカ陸軍航空隊は、
新しい中型爆撃機を、求めていた。


ノースアメリカン社は、
双発の設計で、運動性能に優れた”新型の中型爆撃機”を提案した。
飛行性能と信頼性が高く評価され、大規模な生産が行われる。
総生産数は、約10,000機に達したと記録がある。



その中型爆撃機は、
第二次世界大戦中のアメリカ陸軍航空隊創設者、
さらに、第一次世界大戦後に、戦略爆撃の重要性を提唱した
ウィリアム・"ビリー"・ミッチェル将軍にちなんで
こう命名された・・・・





Bー25”ミッチェル”爆撃機






Bー25”ミッチェル”爆撃機(pexels様




ブル(猛牛)の異名を持つ、
ウィリアム・ハルゼー提督は、


”日本本土空襲”
という、
大胆なアイディアを、初めて提案する。


簡単に、この奇襲作戦を説明すると・・・


空襲を行うために
航空母艦「ホーネット」が、
日本本土に接近。


ホーネットに搭載した、
Bー25爆撃機」が発艦し、
東京を含む、複数の都市を爆撃、
その後、燃料不足のため中国大陸へ向かい、
パイロットたちは、中国国民党(蒋介石率いる政府)が、
支配する地域へと、脱出するという作戦である。



この奇襲作戦は、

・航空母艦の損失

・燃料補給なしで、中国大陸に到着する
 必要があり、爆撃機の生還率が低い。



主に、この2つの懸念材料があり、
成功率が低く、リスクが高い為、
軍上層部から反対されるも、


ルーズベルト大統領が、
日本に与える、心理的ダメージの重要性を
考慮して、最終的には許可される。



この作戦には、
初期型のバージョンで、
爆撃に特化した、


”Bー25B”ミッチェル爆撃機が、
選ばれる事になった。


短距離離陸能力が優れ、
爆弾搭載量も、標準的。


航続距離においては、
長距離も可能で、
中国大陸まで飛行出来るも、
燃料が、ギリギリという問題もあった。


防御機銃に限界があった為、
作戦実行後は、素早く離脱する必要があった。


ちなみに、先に載せたデータ表は、
このBー25B爆撃機に基づく。



作戦の指揮
を任せられたのは、


優れた飛行技術と、
優れたリーダーシップを兼ね備え、
リスク取る決断力を持った、



ジミー・ドーリットル中佐



奇襲作戦実行の日まで、
課題となる訓練、
爆撃機の改造や
装備の改善などを行った・・



空襲時の装備は、
以下のように改造された。



・敵戦闘機の攻撃を避けるため、
 機首の爆撃手席に、ガラスを追加


・爆弾倉には500ポンド(約227 kg)
 の爆弾を4発搭載


・軽量化のため、尾部の防御機銃は、
 木製のダミーが取り付けられた。





1942年(昭和17年)

  

 4月18日・・・








B25”ミッチェル”爆撃機(pexels様





航空母艦「ホーネット」に搭載した
16機の、Bー25B”ミッチェル”爆撃機が発艦し、
東京、川崎、横須賀、神戸、名古屋など
日本本土を、初めて爆撃する事に成功。



日本の哨戒艦に発見されて、
当初の計画より早く発艦せざるおえなかったり、


奇襲作戦終了後、
中国付近に到着した頃は、
夜間になっていた。


暗闇の中、パラシュートで脱出。
着陸に失敗する者もいて、


ソ連軍に抑留された者 5名


日本軍の捕虜になる者  8名


うち3名が、軍律に照らし合わせて
無差別攻撃の罪で、3名銃殺。
1名が、獄中で死亡。


16機に搭乗した、80名のうち、
71名が、ワシントンに6月帰国した。


ドーリットル中佐は、
この偉業達成により、
国民的英雄となった。



「航空母艦からの長距離爆撃」


という、初めての試みを
やってのけた事は、革新的と
高い評価を、得る事になる。


この空襲は、優れた指揮官の名を取り、



ドーリットル空襲



と、呼ばれる事になる。


空襲による被害以上に、


日本本土が、初めて空襲されたという


大日本帝国と、その臣民に与えた
ショックと恐怖は、計り知れない。



日本では、ミッドウェイ海戦が、
大東亜戦争のターニングポイント
だったとよく言われるが、


アメリカにおいては、
このドーリットル空襲が、
ターニングポイント
だったという声も多い。






このB-25爆撃機と、



ドーリットル空襲により、




ハチと成岡の運命は、


大きく動く事になる・・・・





「浙贛(せっかん)作戦」



1942年5月から9月にかけて、
中国の浙江省と、江西省で行われた
大規模な軍事作戦である。



ドーリットル空襲の成功は、
中国における日本軍の、
戦略見直しを、迫られた。


中国大陸における
防衛ラインの強化は、
もちろんの事、


ドーリットル空襲で、
中国の飛行場が、
着陸場所になっていた事から、


再度の本土空襲を防ぐ為にも、
中国南部の航空基地や、
補給路を抑える必要があった。


また、ドーリットル隊が、
着陸した際には、
中国の民間人が、
かくまったり、
助けたりした為、


その地域を中心に、
民間人にも、
その銃口は向いた。



まさに、
本土空襲に対する、
日本軍による
苛烈な”報復”となったのが、



この”浙贛作戦”である。



成岡も、当然だが、
この作戦に、
参加する事になる。



新兵と、その教育要員を除く、
全兵力に対して、
出動命令が下されたのだ。


さらに、この作戦終了後は、
今いる陽新には、戻る事なく



警備する地域が、
武昌南方、
粤漢線(えつかんせん)上にある、
蒲圻(ほぎん)県城付近へ
移動する事が、決まっていた。



これより先・・・
この物語における
重大な分岐点となる、
この事は、軽々しく私には書けない・・・



”成岡自身の言葉”で、
読者には、
知ってもらいたいと思う。





ハチを連れて行くことは
出来ませんし、

また、出来る事でもありません。

引用元 全集日本動物誌4 成岡正久著「豹と兵隊」 P212




成岡とて、連れて行こうと思ったが、
名案を考えてみるが、浮かばず、
狼狽(ろうばい)するばかりであった。



山に戻そうと思うも、
人間になついた、
心優しき猛獣・・



ハチが、とても野生では、
生きていけないと、
成岡は、更に悩むのであった。


成岡は、先の見えぬ大陸での状況を、
以前から憂慮(ゆうりょ)し、
このような日が来るのを、予測して、
ハチの将来を想い、
以前より、手は打っていた。



成岡は、自身と部隊の故郷である、
高知県の人々に、
故郷出身の隊員と共に、
遥か遠い、大陸で、


日々、共に任務をこなす、
ハチの雄姿を、見て頂きたいと思い、



高知市にある、柳原動物園
に、
以前より、詳細に事情を説明し、
事あれば、引き取りをお願い
出来ないか?と、



連絡を取っていたのだが・・・
今回の件で、改めて願いを
手紙で、伝えてみたのだが・・・



日本国内でも、戦争により、
食料事情が厳しくなり、
地方の動物園となると、
肉食獣を飼育するには、
厳しいとの事で、



成岡の願いは、
むなしく断られてしまった・・・



成岡「まだまだ、めげんぞ!」



成岡は、これにもめげずに、
更に、新たなる道を模索し、



大阪、天王寺動物園に、

手紙を送り、
希望を託した・・・・



成岡「おっ!届いた!」



成岡が、期待に胸をふくらませて、
手紙の封を切るも・・・



既に、ヒョウのオス、メスを、
飼育しているので、難しいと、
こちらでも、断られてしまった。



夢打ち砕かれ、
成岡は、部屋に戻って、
布団の上で、
大の字になり、
天井を見上げていた・・・




成岡「ん~・・・困ったのぉ。

   移動日は、迫ってきてるし・・

   2つとも、断られるとは・・

   
   
   ハチ・・・お前を、

   オレが、日本に帰るまで、

   預かってくれる先は、

   無い物かのお・・?」



ハチは、いつの間にか来ていて、
成岡の顔を、上からのぞくように、
しばらくみると、

背を向けて、部屋のどこかに
行ってしまった・・・



成岡「ハチ~~~!

   お前の事なんだから、

   一緒に考えてくれよ~~~!

   泣きたいよ!オレは!


   あ~~~~~~!!


   
   どうしたらいいんだよ~~~!」





”ゴン!”




その時、成岡の顔に、
上から何かが落下してきた・・



成岡「いてぇ~~!

   こらぁ~~!

   ハチ~~~!」



いつの間にか、また戻って来た
ハチが、成岡の顔に、
何か、落としていたのだった。




成岡「ん?

   こりゃあ・・何だ?」



成岡が、ハチが落としていった物を、
手に掴んで、見てみた・・・



成岡「これは・・・・・」






これは・・?(イラストAC様




そこには、何処かに行ってしまい、
行方知れずとなっていた、


ハチが、小さい頃に付けていた、
少しボロボロになりつつも、
あの頃と変わらない、
かわいい首輪があった・・・



成岡「すっかり、どこかへ
   いっちまったと、
   思っていたが・・・

   
   お前が持っていたのか!
   ハチよ~~!
   なつかしいなあ!」




成岡は、首輪との再会を、
心より喜んでいた・・・



すると・・・



あの日、あの光景が、
そして、”あの言葉が!”
脳裏によみがえってきた!




成岡「そうかあ!
   そういう事か!!


   でかしたぞ!ハチ!


   やっぱりオマエは、


   ”オレの相棒”だ~~!」




成岡は、何かをひらめき、
そして、ハチに思い切り
抱きついた・・・








ボク、ちゃんと覚えてたよ!お父さん!




成岡「そうだよ!オレには!

   ”あの人”がいたんだ!

   あの人なら、
   なんとか、この苦境を、
   救ってくれるに違いない!

  

  よ~~~~し!


  手紙を書くぞ~~~~!


   
   
   ハチ、おまえの匂いも、

   たっぷり便箋(びんせん)に、

   付けておくるぞ~~~!


  
   よ~~し!

   
   道が開けたぜ~~~! 

   
   ヒャッホ~~~!」

    



成岡は、その夜、
きれいな字で、
手紙を書くために、


何度も、何度も、
手紙を書き直していた、


ハチは、まるで見守るように、
机の灯りが消えるまで、
眠らずに、成岡のそばにいた・・・




<第8回へつづく・・・>




pexels様」、「イラストAC様」、

素晴らしい画像に、感謝します。




「読者のみなさまへ」


本作品は、
実話を基にしていますが、
会話など脚色を加えてあります。

また、いつもと違い、
連載形式なので、
その都度で、明記する時もありますが、
作品の内容を、順番にお知り頂きたいので、
最終回に、参考文献や参考サイト様など、
まとめて明記したいと思っております。
ご了承下さいませ。




(ちょっとだけ、あとがき)



今回も、最後までお読み頂きまして、
本当に、ありがとうございました!



Bー25、ドーリットル空襲の辺りを、
いかに、みなさまにわかりやすく
お伝えするかで、何日も、
試行錯誤してしまったため、



今回も、遅くなってしまい、
申し訳ありませんでした。
飽きないで、ご覧頂けたなら幸いです。



全何回か、決めて書いてるわけでは、
ないのですが、だいたい折り返し地点まで、
来たのかなと、いった感じであります。


そこで、今回は、
見逃してる回などありませんか?


という事で、最後に各話への
リンクを張っておきますので、


今回、偶然ご覧頂いた方は、
ぜひ、第1回からご覧頂けると、
話がより楽しめると思います。


では、おしゃべりは、
このへんにしまして、
第8回で、またお会いしましょう。



さようなら!




<オレの相棒 第1回~第6回まで>


















懐かしいやら、マニアックな内容やらですが、 もし、よろしければですが、サポートして頂けたら 大変、嬉しく感激です! 頂いたサポートは、あなた様にまた、楽しんで頂ける 記事を書くことで、お礼をしたいと思います。 よろしくお願いします。