大人数を診察しなければいけない精神科クリニックで初めて勤務する精神科レジデント向けに
精神科医になったばかりの私は救急病院勤務では精神病圏の患者さんの診療に精進していました。ただ同時に精神科病院の患者さんだけではなく、まず最初に受診するのはクリニックが多いのだからクリニックの診察にも興味がありました。また精神病圏だけではなく神経症圏の診察も精進したいと思っていました。そこで、まずは1万回の診察を目標に大規模短時間クリニックでも非常勤勤務を開始しました。すると1日で診察しなければいけない患者は60人〜90人程度。病院の外来も含めると2年目の序盤には1診察を1回と数えると1万回を超えていました。その後は何を思ったのか3万回を目標にして、その回数をこなせば見える景色はまた変わると思い、精神科救急病院で勤務しつつ休日はほぼ全て大規模精神科クリニックで勤務しました。
そして、私がレジデント3年間終了する前には3万回の診察回数に到達していました。
当然今では続けていないですが、クリニックの診察で得たことというのは精神科病院での外来や精神病圏の診療にも大きく役立っています。まだとても未熟者ですが、自らの精神科医としても成長できた雰囲気が患者さんにも伝わるのかなとも思います。
ここまではただの雑談だったのですが、私も初めてクリニックに勤務した際や最初の半年間は右も左も分からず、とりあえず精神科治療マニュアルを鞄に入れていた記憶があります。今から思い返すと恥ずかしい限りです。おそらく研修時代にここまで外来をし続ける研修医もいないかと思い、本当に拙いですが私が経験したことを簡単にまとめたマニュアルを作成しました。これも初めて外勤に行く研修医やクリニック外勤したことのない後輩・同期に今までプレゼントしていたものです。
本当に薬剤とかも個人的な意見ばかりですし、かなりざっくり記載したものなので興味がある方だけ購入して頂けたら幸いです。きちんとした勉強はガイドラインや精神療法の本等から学んで下さい。それでも、生活のためとか興味があるとか色んな理由で大規模短時間クリニックで働く機会がある方で不安な方には少しは意味のあるものかなとも思っています。
繰り返しにはなりますが大規模クリニックかつ短時間(5分程度)での診察しか行えない場合のものですのでご了承下さい。
精神科クリニックマニュアル
・まずは出来そうで出来てないこと
患者さんが入室したら頭を下げ挨拶して起立してお座り下さいと伝えて一緒に座る。
患者さんが退室する際は、しっかりと挨拶し起立し頭を下げ退室を見届ける。
こんなの当たり前と思っている先生方には申し訳ございませんでした。私は全ての患者さんにこれだけは心掛けてやっていました。やはり初めて精神科医と話す方も多いですし、再診でも数分のために1時間以上かけて通院して更には1時間以上待つ、更に混んでいたら帰るのにも時間がかかる。この患者さん達が、たった数分〜15分程度の時間のためにここまで時間を費やしていることは忘れてはいけないことだと思います。
また白衣を着ている医師と話すのに緊張や恐縮してしまう方も多いと思います。私達の周りは全員医療者なので感覚が鈍ってきていますが、医療と無関係な方達からしたら、そう思ってしまう方も多いのです。やはり精神科医療ではラポールの形成が全てといっても過言ではない中で、患者さんとどうしたら短い時間で信頼関係を構築・維持出来るのか。入室と退室のそうした作法は、同じ目線でお話させて下さい、緊張しないで下さいといった意味が込められていると思います。短時間診察の中では、そうした些細なことも精神療法につながると思っています。
ここ以下ではクリニックによく受診する患者さんを疾患や主訴毎に分けて、何も知らない状況であればひとまずどう対応したらよいのかまとめてみました。全て薬剤等含めて個人的な考えも多いのでご参考程度でよろしくお願い致します。
ここから先は
¥ 2,000
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?