花束ーー苦い思い出と甘い香り
中学時代の思い出といえば、いつもテニスコートの外から、レギュラー選手の背中をみつめていたことです。
私の行った中学校では、全員部活に入ることが暗黙の了解になっていました。チビで運動が苦手だった私は、一番身長や体力が関係なさそうな軟式テニス部に入部しました。
テニス部は、AチームとBチームに分かれていました。上手な3ペア6人がAチーム。そのほかの20名くらいの生徒は補欠。私はもちろんBチームでした。
テニスコートで練習するAチーム。コート外のグラウンドで練習するBチーム。新しいボールを使えるAチーム。半分空気の抜けた古いボールで練習するBチーム。スコートを着られるAチーム。私たちはジャージがブルマーしか許されていませんでした。すべてに差がつけられていました。
それでもランニング、素振り、ラリー、ボール拾い、グラウンドの整備。。。月曜から土曜の放課後はもちろん、日曜日や夏休みも、練習する毎日を3年間続けました。
卒業の年になり、テニス部の後輩による「送り出す会」が催されました。花束を渡されたのはAチームのメンバーだけでした。手ぶらで歩いた帰り道、とても悲しくて寂しくて、涙が出てきました。
その思い出が辛くて、高校では部に所属しませんでした。
初めて花束をもらったのは大学の卒業式。その時のうれしかったこと。それから、花束をいただくのが、何よりも喜びになりました。
今回映画の上映にあたって、何度花束をいただいたでしょう。花束をいただくたび、あの苦い思い出が少しずつ遠のき、心の中が甘い香りでいっぱいになるのです。
↓ 花束の甘い香り@ユーチューブ
みなさま、どうもありがとうございます!