なんでもいい 本当になんでもいいのなら なにか選んでみるといい 選ぶのが怖いというのなら 目を瞑って指差してもいい なんでもいいを抜けた初めては 失敗したなと思ってもいい 自分で選んだということが ボディーブローのように納得になる
写真を撮る時は、 揺れている花を イヤだなと思った。 だって一瞬を切り取ると 写真がブレるから。 なるべく動かないでほしかった。 でも動画に切り換えた途端、 揺れている花が 一気に好きになった。 動画で様子を撮ると とても素敵だった。 もっと揺れてほしくなった。
秋になると 空の質感が変わる 天一面に広がる うろこ雲 肌質を確かめるように さわってみたいなあと思う
ずっと聞いていたい 川のせせらぎ 水の音を なぜ こんなにも 心地よく感じるのだろう
僕にとって 詩は 意図的に「作る」より 自然と「浮かぶ」もの 今日の出来事や 触れたもの 感じたこと そこから浮かぶなにかを 楽しみに待つ
ドキドキしていた 欲しいものをくれることにでななく 僕の願いをわかってくれる ということに対して ならば きっと聞こえているのだろうと 心の中で色々と相談した プレゼントにもクリスマスにも関係のないことを よき相談相手だった
忘れてたことを思い出すのは 自分の力じゃない気がする 誰かが僕の脳に向かって 落とし物を投げ入れてくれたような感覚 ──スポン ガス止めるの忘れてた! 危ない危ない
山を降りるとき 初めて見えるものがある 頂上を目指し せっせと登っていた時とは 反対側の景色 登るだけでは 気づかなかったものが見える 山を降りるとき 発見したものを大切にしたい
木々の色づきを見て 染まらない木が隣にあったことを知る 夏には同じ緑でも 秋の姿は賑やかだ 紅葉が見られるからじゃなく 様々な姿に出会えるから秋は楽しい
たくさん歩いたあとは 足がじんわりとあったかい 好奇心に駆られて 行きたい場所へ向かったら 知らず知らずのうちに 多く歩いていた というのがいい 歩きたいところへ 歩けるのがいい
木々が次第に色づき始め 久しぶりの掛け布団 温かさと 少しの重みが心地よいので まだ寝る時間じゃないのに ついつい 包まりたくなる ああ これは 冬の罠だった そんなことを思い出す秋
僕らはどうして雨に打たれるんだろう 雨が地球に必要なものなら 僕の体も雨水を皮膚から吸収できればよかったのに 植物は喜ぶけど 動物は雨を避けて潜む 植物が主役で 動物は休息の日なのかな
まだ暗いうちに目覚め 静かな世の中が見慣れた明るさになるまでを眺める 僕だけのゆっくりとした時間 早起きは三文の徳 なんてことはなく 慣れない時間に起きた分 昼前にはしっかり眠くなるけれど ひとりで異世界に行けたような 妙な興奮がある 周りから見たら ただの眠そうな人だけど 僕はさっき みんなの知らない世界にいたんだよ
涼しいか寒いか際どいところだ 夏仕様だった身体が 冬仕様に変わろうとしている 夏の暑さに耐えうる身体から 冬の寒さに耐えうる身体へと 寒いと思うには涼しく 涼しいと思うにはまだ寒い いっぺんに塗り変わるのではなく スイッチを迷うように 二転三転している 羽織を着てみたり脱いだりしながら 己がどう感じるかを楽しんでいる
ノドは案外デリケート 乾燥 ウイルス 声の出しすぎ ちょっとしたことで赤く腫れ 体の異常を報せてくれる サイレンのようだ
北に震災あらば 迷わず助けに行き 東に痴漢あらば 性別に関わらず被害者の味方をし 南にイジメあらば 迅速に加害者を隔離する 西にメディアの洗脳あらば 許さず牙城を崩しに行き 宗教による支配はなく 市民感覚を持つ者しかお上になれず 善良な労働者がいつもぐっすり眠ってゐられる そういう政党を私は推したい