オフィスの”汚さ”は万病の元。でも社長は無関心で気づかない。荒廃の始まり?
先日、お客様のオフィスに午後ずっとお邪魔した。とは言っても、小さな会社さんで複数フロアを占有していたり、巨大なスペースではない。会議室も無く、20名ほどが座れる程度。
で、ちょっとお茶でも、と社長さんとなったので、コーヒーしながらこう尋ねたのです。
「あの部屋に”間違い”がいくつかありますが、知っていますか? 間違い探しです」
「んん、”間違い”ですか?」
「ええ、”間違い”です」
「いや、ぱっと思い付かないけど、散らかっているとか、ゴミが落ちているとか、そういうことはありそうですが・・・」
「あ、そうですね、整理整頓などのいわゆる5Sが近いです。5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)的に考えると見つかるかもしれません。また後で気づいたら教えてください!」
社長さんは、結局気づかず。ま、真剣に探していなかったけど。
「2024年9月27日(金)空調点検」と「2024年10月18日(金)防災訓練_積極的にご参加ください!」というビル管理会社からの通知(A4の紙)が壁に貼ってあった。その日はもう11月後半。つまり過去のこと。
そして、ペットボトル専用というゴミ箱に缶コーヒーが3つほど。自分達で各階のゴミ捨て場まで持って行くらしいが、毎日持って行っているようには思えず。。。
割れ窓理論。
ボクの好きな、信じている理論のひとつ。一つの割れた窓を放置すると、2つ、3つと増えていき、とめどない。そして、窓以外も汚れていく。軽犯罪が増える。重犯罪に発展する、そして荒廃する。
昔、アメリカのニューヨークで実践された理論。2005年にニューヨークで数ヶ月ほど仕事した際、アメリカ人の同僚が「今やニューヨークは犯罪都市ではなく、ディズーニーランドだよ」と言っていました。例えば、殺人・強姦・強盗やらの重犯罪は1990年に71万件ほど。2000年には18万件ほど。10年でだいぶ減る。その後も減り続ける。最近は増えているようですが。
地下鉄への落書きを消す。次の日はまた落書きされるイタチごっこだけど、諦めずにキレイにする。無関心ではないよ!というメッセージ。たかが地下鉄の落書きかもしれないが、そこから始める。ちょっとしたことも許さないよ!という強い関心・拘りを明確にメッセージ。この理論のお陰だけではないだろうけど、ニューヨークの犯罪数は劇的に減少。経済の好不況にかかわらず減る。
会社も同じ。
忙しいからと、それは自分の仕事ではないからと、オフィスは汚くなりがち。不要な張り紙は残るは、ゴミはたまるは、植木は枯れる。
中にいるひとは慣れる。日常だから。そして、その汚れに無意識に影響され、整理整頓などのまさに5Sが後回し。誰も気づかずに、一歩一歩、汚れる。誰もが自分事ではない。そんな会社はどうなるのか。。。
初めて入室する訪問者・部外者は当然に気づく、きたねー、と。こんな会社が上手くいくのか?と。採用にも悪影響、お客様にも悪影響。でも、気づかない。。。
仕事で、部下の間違いは指摘できます。容易に。これは別に部下が「馬鹿」で、上司やリーダーが「できる」わけではありません。
部下が資料をつくったり、計算したり、プログラムしたり、つまり実行するからなだけ。実行するから間違いが起きえる。実行しないでレビューやチェックだけをする側の上司やリーダーは間違いをおこしえない。指摘するだけ。ま、正確には、間違いを見逃すという間違い、より良く昇華させることができないという間違いを犯してはいますが、それは不問なので。誰も気づかないから。
そして、もし、立場が逆転したら、上司やリーダーが間違いを犯し、部下は間違いを指摘できる。誰が実際に手足を動かすか、誰がチェックするか、だけの問題だから。
オフィスをキレイにする仕事はポテンヒットになりがち。
本来はリーダーの仕事!だけど、リーダーは「そんなことなんで俺が/私がやるの?!?! 忙しいんだよ!!!」となる。だから「5S」とか言って部下に押し付ける。でも、それでも本気でレビューしないから汚れるのだ。本来は、リーダーの仕事で、部下の方がレビューする類い。「もっと私たちが仕事するのに心地良い環境にしてくださいよ!!!」と部下が指摘すべき。だが、恐ろしい上下関係がそれを阻む。
無関心。だから、ぬるま湯のカエル状態で、軽微な汚れの積み重ねに気づかない。自分の会社でも、自分がリーダーでも、職場環境は自分に関係ない。自分は別の部屋があったり、そこに長居しないからか? そもそも、掃除は嫌だよ、自宅でも嫌なのに、なんで社長の私がやるんだ?!そんな感じ。それより営業だよ、稼ぎだよ、そんな感じ。
でも、割れ窓理論に注意です。オフィスだけでなく、そんなリーダーのもとでは、事業活動もどんどん「汚れて」いきますから。。。
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(v10_12)