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私の人生は、うん、お前にすべて任せたよ、AI。言う通りにするよ。

最近のイチロー選手を追いかけるドキュメンタリーをTVで見た。


イチロー選手の本意を理解できたかわからないけど、松井秀喜選手との会話の中で、今のアメリカの野球はデータ至上主義になっていて、選手に考えさせていない、という危惧を表明されていた。

細かい紹介は無かったが、例えばこういうことかと理解した。このピッチャーはストレートが相対的に高確率でヒットになっているからストレートを打て、とか、三振を取る球はフォークだから、ツーストライクの後はフォークと思って振るな、とか、この選手は右ピッチャーだとライトのこの辺にボールがXX%で飛んでくるからこの辺りを守れ、とか。

考える必要が無い。データを分析し、可能性の高いことを機械的にしなさい、みたいな。イチローさんは考えないことが嫌であり、この潮流に違和感。だからデータが教えてくれない領域で高めるべき能力を若者に指導されていた。そんな風に思いました。


デジタル技術の”大躍進”と、脳科学や心理学、経済行動学などの発展の両輪で、ボク的には”板挟み”で、野球のみならず、スポーツのみならず、会社でも、人生のあらゆる場面で、データ至上の世の中です。

人間はテキトーってことが明確になり、だから進歩しているデジタル・科学に任せよう、そんな世の中。確かに人間は、あらゆる種類のバイアス、先入観、固定観念、思い込み、主観、思考のクセに、無意識に、動かされています。

科学的でないことは信じません。科学的でないことは存在しません。デジタルで処理されたことが科学的なのかはさておいて、データを集めて分析。それがすべて。

人間なんて、感情的で、テキトーで、バイアスだらけが楽しいというか、それだからこそ個性があって、そんな個性が集まって、イライラすることもあるけど、複雑だけど、でこぼこながら、間違いながら助け合うのが社会、だと思うのだけど。こんな個性の集まりが豊かな社会の大前提、だと思うのだけど。ま、デジタル、科学は個性を否定しているわけではないけど。。。


「あの人を好きになってしまった。理由なんてわからない。好きな顔なんだもの。声が好きなんだもの。自分の正直な気持ちなんだよ。どう思う?」

データ分析の結果から、AIに進言される:
君が生まれた時から知っているよ。24年間、何を検索したのか、どんな動画を見たのか、どんな写真を撮ったのか、どんな人ばかりを眺めているのか、どんな人でバイタルが高まっているのか、誰にどんな文章を書いてきたのか。。。君のことを、君より知っているよ。

そして、相手のこともだいたいわかるよ。何歳で、どこで生まれて、学歴はこんなで、趣味はこんなで、どんな人の写真をよく見ていて、一緒に写る人にはタイプが多くて、などなど。だから、完ぺきにわかります。君にはこの人は残念ながら合わないんだよ。トライしても成就せず無駄。今の時代、無駄は避けるべき。もしかしたら、ワンチャン、なんて間違った思考はせずに、トライは止めようね。効率的に付き合える人は他にもいます。さぁ、次に行きこう!

OK。わかったよ。私の人生は、うん、お前にすべて任せたよ、AI。言う通りにするよ。


もはや自分は、デジタル・科学・データ・アプリ・AIなるものに知らずにコントロールされている機械かのようだ(言い過ぎか・・・)。


でも、いいじゃない。何が問題なの? 無駄なく効率的に成果が得られるのだから。努力不要。時間も有効活用。空いた時間で他のことにも打ち込める。確率低いことで心を悩ます必要なし。気持ちを安定的に保てる。

だから、電車の中で、交差点で、飛行機の中で、隣同士になった、そんな偶然を楽しみ、ちょっと気になった方に、声をかける、そんな無駄な勇気、無駄な活動、無駄な時間、はだんだん理解されなくなる。そんな無駄しなくても効率的に得られるのだから。こんな気持ちが起きる訳がない。こんなことを楽しみたいと思うのは、世代ギャップか、アプリを使えない僻みか。世の中からこんな場面がどんどん少なくなると、懲りずに続けるひとは胡散臭い、きもい人になる。通報されないようにやりましょう。


はぁ。データって大切なのでしょうけど、科学的って大切なのでしょうけど、何でも自分の思い通りにデジタル世界で加工できることも大切なのでしょうけど、機械的に確率の高いことに終始することも大切なのでしょうけど、でも。。。

不器用で曖昧でバイアスだらけでテキトーな個性が集まって、一丸になって、感情的になりながら、ビジョンに向けて、一緒に目指す、って取り組みもイイような。

でも、これでは企業やチームは「成功」「成長」「存続」はしないのかな。。。

お読み頂きありがとうございます。
(v10_41)


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