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カミュの「ペスト」を読んで思い出すコロナ渦。「次」は、どうありたい?
アルベール・カミュの「ペスト」を読み終わった。1957年に44歳という若さでノーベル文学賞を受賞したフランスの作家。1913年生まれで1960年に亡くなっています。交通事故。47歳の生涯。短い。
この「ペスト」は1947年の作品。終わったばかりの第二次大戦やら、人間の死、病いなどなど人生の不条理に置き換えられる、と解説されます。
ペストと言えば北里柴三郎さん。ペスト菌を発見。そして、ペスト菌を媒介するノミがついているネズミ退治に猫を飼うことをすすめたらしいですが、このカミュの作品でも、ネズミが街中で死んでいるシーンから始ります。
歴史的にペストは人類を苦しめてきました。ヨーロッパで1340-50年代に2500万人が亡くなったらしい(直接、間接的なペストの影響)。当時が7500万人ほどの人口だから、3分の1が失われる。それに、6世紀にもビザンチン帝国で同じく2500万が亡くなったらしい。現代でも日本ではないですが、世界では様々な地域で発生しているようです。ネズミ(ノミ)には近づいたらダメですね。
このカミュの「ペスト」。コロナ渦に買ったが、途中で止まっていた。再度、読み始め、今日、読み終わる。しかしコロナってもう、ほぼ、忘却の彼方。。。
忘れた頃の今、読んでとてもよかった。気づきある本。
不条理は、また、どうせ、すぐに、やって来る。忘れた頃にやってくる。小さな不条理は日々起きているけど、個人的な好尚の範囲ではなくて、社会全体的な連帯的な必要性の中で、さて自分はどう行動するか(行動しないか)。考えさせられた。コロナ渦の自分も思い出し。。。反省?
この本で登場する人々(普通の人達)はペストとの遭遇で:
変貌するひと、変わることのないひと
個人の幸福を追求するひと、社会の共同性・連帯性に目覚めるひと
絶望の中で逃げるひと、闘うひと
能動的に行動するひと、受け身になるひと
などなど
さて、どっちに・・・。
ちなみに主人公の医者であるリウーは、迷い、何が正しいのか、信じて良いのかわからないながらに、社会の連帯性を重視し、能動的に、医者として、診察し、実験し、失敗し、死を看取り、諦めず、解決をさぐっている。
「自分一人が幸福になるということは、恥ずべきことかもしれないんです」
「自分の愛するものから離れさせるなんて値打ちのあるものは、この世になんにもありゃしない。しかもそれでいて、僕もやっぱりそれから離れているんだ、なぜという理由もわからずに」
「医師リウーは、ここで終りを告げるこの物語を書きつづろうと決心したのであった ー 黙して語らぬ人々の仲間にはいらぬために、これらペストに襲われた人々に有利な証言を行うために、彼ら/彼女らに対して行われた非道と暴虐の、せめて思い出だけでも残しておくために、そして、天災のさなかで教えられること、すなわち人間のなかには軽蔑すべきものよりも賛美すべきもののほうが多くあるということを、ただそうであるとだけいうために。」
素敵です。ボクは医療従事者ではないけれど、自分のできる範囲で彼のようでありたいなと。
(「ペスト」カミュ著、宮崎嶺雄訳、新潮社)
お読み頂きありがとうございます。
(v10_9)