二人で一人の
その日その時、何をしていたのかはよく覚えていない。
洗濯物をたたんでいたような気もするし、夕食の用意をはじめる前に一呼吸おいていただけだったかもしれない。
ただ、窓辺に座っていたことは覚えている。
部屋には日暮れ前の陽光がわずかに差し込んでいた。
不意に、声をかけられた。
肩ごしにふり返ると、次男の顔があった。
「はい。」
手渡されるままに、指が自然と動いた。
私の指の隙間から緑の光が、続いて次男の指からも紫色の光が瞬いていく。
右手を左肩の方へと移し、次男と二人声を合わせる。
私は、床に倒れこんだ。
頭上には軽快なサウンドがひびき渡る。
「産まれてきてよかった〜。」
「このうちに来てよかった〜。」
嬉々とした表情の次男の言葉に、一瞬おどろいてしまった。
このタイミングで、そうくるのか。