プロローグ
僕は僕ではなく、当然猫でもない。
更に言えば、猫を飼ったこともない。
ではなぜ「猫」かと言うと、動物の中で一番縁を感じるのが猫で
その縁は「死」だからだ。
初めての出会いは、たしかランドセルを背負っていた気がするから
小学校低学年だったと思う。
数人の友達と一緒にその猫を見つけた。
今となっては、誰が一緒だったかは忘れてしまった。
学校の正門近くの道路脇で車に引かれた猫を見つけ、誰ともなく自然に
その猫のお墓を作ることになった。
当時は空き地が多く、その空き地の端にある電柱の近くにお墓を作った。
不思議なのは、埋めたのは覚えているが、どうやって穴を掘ったのかは覚えてない。でも、中途半端ではなくちゃんと埋めたと思う。
その次の出会いは、もうかなり成長していたと思う。
寒い冬の日、確か夕暮れ時に家の庭の片隅での出会いだった。
もう冷たくなっていたので、最後の場所にここを選んだのかと思うような、
そんな状態だった。
母と一緒に、段ボール箱に入れて、線香を焚いて手を合わせ
そして、ごみ集積所に置いた。段ボールには「猫が入っています。お願いします。」そんな感じで書いたと思う。
そして、数年後の同じように寒い冬の日に、同じような出会いがあった。
その時も、同じように線香を焚いて手を合わせ、ごみ集積所に置いた。
最後は、帰宅途中だった。辺りがすっかり暗くなった夕暮れ時で
道路の真ん中に、毛がモフモフした、どう見ても飼い猫だった
そんなに車が通る道路ではないのに、残念なことに引かれてしまっていた。
その猫は、飼い主の男の子が探していたので手渡すことになった。
男の子がそのモフモフ猫を抱きしめて泣いていた姿がもの悲しかった。
最初の猫のお墓だが、時が経過し
空き地は駐車場と姿を変え、コンクリートで整備されてしまった。
「あの子は苦しくないだろうか・・・」ふと気持ちが馳せることがある。
ごみ集積所に置いた子達については、あれでよかったのかわからない。
そんなこんなで、僕にとって「猫」は特別になった。
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