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加工に加工を重ねディテールがぼやけた情報、洗練されることなく溢れ出す感情、ごった煮の言語シャワーは一切合切の言葉をぼくから削ぎ落としていく。圧縮され保存された黒塗りのテキストデータが解凍される容量はもうほとんど残っておらず、メモリは受容体に喰い潰されている。
言葉に塗れた部屋にて加工食品を貪る。爛れた皮膚の再生産が追いつかないまま傷を重ね、眼球はLEDライトに照らされてじわりじわりと機能を失っている。冷凍庫にはかつて温かみ持っていた筋繊維が乱雑に冷凍されており、さながら日毎に体温を失っていくぼくの不出来な身体のようだった。
天気の話、食べ物の話、これ以上に大切な話がどれほどあるだろうか。掃いて捨てるほどの言葉を費やしても話尽くせた試しなんて一度たりともなかった。そして、不明瞭な言葉の足場にバランスを取って確からしいことを手にしようとした日々がどれほど素晴らしかったか、今ではその感触が手に残されてはいない。きっとぼくは読みたい本も読みきれないまま死んでいく。歌詞があやふやな曲を口ずさみながら。