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大数の法則さんこんにちはー

難しい言葉は僕をどれだけ守ってくれたか。むしろ傷つけられてばかりだ。そればかりか、その鋭利な棘は誰かをつんざく。 僕はひどく胸を痛めている。人を殴った拳でさえ痛みを訴える。 痛みは伝搬する。痛みを乗せたノードはやがて身を歪め、生活を蝕むだろう。その予感をただ感じ、手を動かす、笑い、泣き、眠る。呑気なものだ、と我ながら感心する。 僕は悲しい。 だんだんと瞳は暗くなる。焦点はクッキリと、そして視野は狭まっていく。真っ直ぐ目を向けて歩いても都市生活の中で誰とも目が合わない。

    • ⏯️ A rat with both legs broken

      As she observes her reflection in a clear mirror day by day, she notices the subtle changes in her appearance – the contour of her face, the movement of her eyelashes, and the firmness of her lips. These continuous changes captivate her min

      • 焦っている。焦らなければならない。どうしようもなく日々は過ぎている。ぼくはどうしようもなく自由が効かなくなっていることを確認する。手をぎゅうっと握る。左手の薬指が満足に動かなくなってきた。着実の身体の機能は朽ちていく。自覚的であらねばならない。 昨冬を思い起こす。冷たさの記憶が遠のいていく。また訪れる夏の記憶がたしかな触感を失っていることに気がつく。目を閉じる。思い返せる時間は刻々と減っている。思い出す限りの時間は増えたはずなのに、だ。自身の感覚についてより鋭敏になっていか

        • 天気雨・幽霊たち・計算機

          春。天気雨の降る墓地を闊歩する。狐の嫁入りを祝福するために天気雨は降ると教えられた。今もそう思う。視認できない世界を解釈するのに聞き齧りの知識を充てがうと情緒を取りこぼしてしまう。だから細心の注意を払って情緒の端っこを拾い集める。窓辺に飾る。専らの生活はそんなところで、もはや手に余る情緒に飲みかけの水をやり、収穫祭の日を今か今かと待ち望んでいる。 墓地に滴る水滴が街頭に照らされ不気味な光を放つ夕暮れ。幽霊がみんな悪さするって誰が決めたのだろう?世の中の人々が悪い奴ばかりでなか

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          加工に加工を重ねディテールがぼやけた情報、洗練されることなく溢れ出す感情、ごった煮の言語シャワーは一切合切の言葉をぼくから削ぎ落としていく。圧縮され保存された黒塗りのテキストデータが解凍される容量はもうほとんど残っておらず、メモリは受容体に喰い潰されている。 言葉に塗れた部屋にて加工食品を貪る。爛れた皮膚の再生産が追いつかないまま傷を重ね、眼球はLEDライトに照らされてじわりじわりと機能を失っている。冷凍庫にはかつて温かみ持っていた筋繊維が乱雑に冷凍されており、さながら日毎

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          知らないよーだ!

          早すぎる桜開花宣言に置き去りにされてしまった。季節の変わり目、抗えない巨大な力の移ろいは無力さの鈍器でぼくを殴る。鈍痛の最中、知らない感情に支配されていた。 また春が来た。今年も春風は冷たい。知らない感情は精査される間もなく桜と共に吹き飛ばされていく。長い冬に凍てついた身体を溶かしてくれるほど春風は熱を帯びていない。 帰りたい、と思う。どこへ?見当もつかない。 珈琲を淹れる、日差しを浴びる、掃除機をかける。そうして時間を塗り潰す。訪れた事のない土地への思慕を拠り所にする。

          知らないよーだ!

          patchworkAsLife

          愚にもつかない秋だった。夕焼けに紅葉する顔が秋だとするならば、もう数年来、秋とは顔を合わせてない。些細な生活がガラクタ同然に扱われるのはいつの季節だって変わりなく、街は光の方へ吸い寄せられている。 シュトーレンの匂いが鼻をかすめた。電飾がチカチカ瞳を照らせば、今年もまたサンタクロースのおじさんが胸を高鳴らせる。ぼんやりとした光の中に手に余るふれあいの残像が立ってるような気がしてならない。なんだか、偏頭痛の前兆と似ている。そんなことが頭を巡る中、頓服薬を飲むようにグリューワイ

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          クリームソーダシンドロームナポリタンスペクトラム

          「ありあわせのハッピーエンドよりも心底救いようもないバッドエンドのほうがマシだった!」とベッドで悶え転げる夜がある。ここらのバカ平和な私生活は生ぬるい幸福と形容する他ない。生ぬるい幸福は、なにかに似ている。例えば、クリームソーダ。生ぬるい幸福と同じ味をしている。例えば、晩夏の夜風。生ぬるい幸福と同じ肌触りをしている。例えば、ハーゲンダッツのチョコレートアイス。生ぬるい幸福と同じ色をしている。 玉ねぎをいためるとだんだんと透明になっていく。幼き日々に似ている。ナポリタンは見た

          クリームソーダシンドロームナポリタンスペクトラム

          日記

          ボロアパートの隙間風というのは、人を死に至らせるほどの加虐性を帯びている。今朝、目が覚めたら体の先端部分がまるっきり体温を失っていて死ぬかと思った。2日連続今月3回目の死の予感がした。ゆらりゆらり揺れる時計の針を目で追いながら、昨晩、寝ぼけながら焼酎を食らったことを思い出した。暖かくなるまで眠っていようともう一度目を閉じた。 それから、髪の毛を切りに行った。生きる上でバランス感覚ほど大切なものはない。バランス感覚さえあれば、大抵のことはうまくいく。だから、髪の毛を切りに行く

          春も飛びこえて夏のにおいを待ってる

          いつだかに聞いた笑い声がしだいに遠ざかっていく。永久保証の契約が無効になっていることなど露知らず、雨音は鼓膜を打ち付ける。何度目だろうか、ぼくは白色の柔らかな光に手を透かせ、ぎゅうっと身をすぼめた。 古めかしい感覚が途端に蘇ることがある。そのトリガーは音楽や景色、匂いだったりするわけで、五感を撫ぜる感覚がまた遠く愛おしい感覚を想起させる。季節の変わり目は忙しいほどに新しく、それでいて懐かしい心地を与えてくれる。湿っぽい空気は牛乳を腐らせる間に鋭気を漂わせ、布団から出るのが尚

          春も飛びこえて夏のにおいを待ってる

          猫のかわいさ成分はしっぽに詰まってると思うんだ

          書き出しばかり長ったらしくつまらなくなってしまった。事実を書き下そうにも観念によって歪められ、言葉足らずがディテールを削ぎ落としていく。狭いバスタブに身を屈めながら肩まで浸かり、ぽーっと温かさに興じているといくつかの考えや解釈が浮かんではそれぞれがぶつかり合い、あぶくと一緒に消えていく。鏡に映った人の顔は見る度に不自然に笑みを浮かべている。鏡に映っていない方のぼくは、わざわざ曇り止めなんて塗らなければよかったなんて言ってるみたいだ。ぼくや、ぼくの目の前にいる奴は交互に言葉を手

          猫のかわいさ成分はしっぽに詰まってると思うんだ

          The girl has been deleted.

          その頃、ぼくたちは詩的に生きていた。歩いているだけで立派な画として体裁を保っており、散歩道は私小説そのものだった。他人の物語になぞらえた情景の美しさになんの疑問を抱くこともなく、訳もわからないまま酩酊していた。ぼくたちは生活の綻びに気づくこともなく、また気づく必要にすら迫られていなかった。(なんてすばらしい日々なんだ!!) この頃、ぼくたちはやけに疲れ切って夏の夜みたいに生ぬるいやりとりを続けている。季節はもう7周半していて、さして目新しさもない夏の暑さはしつこく漫然と気だ

          The girl has been deleted.

          ガシガシ𝑬‌𝑻‌𝑬‌𝑹‌𝑵‌𝑨‌𝑳 𝑳‌𝑶‌𝑽‌𝑬 しちゃだめーーー!

          今は誰も見てもいないSNSに日記を綴っている。目に映った出来事に無理やり言葉をあてがわせたような乱雑な文字列が温度感もなく並んでいる。画面はぼくのアイコンで埋め尽くされている。じぃっと見つめてみるとそれぞれが独立したような顔をしてるみたいでちょっとキモい。ぼくの意志とは関係なしに景色の粒度は高くなっている。ぼくはぼく自身が傍観する景色を制御する術すらも徐々に失いつつある。極彩色の情報は眼底をジリジリと焼き尽くしていく。目の奥の鈍い痛みが生活を圧迫する。ゴミ出しの日に関して極端

          ガシガシ𝑬‌𝑻‌𝑬‌𝑹‌𝑵‌𝑨‌𝑳 𝑳‌𝑶‌𝑽‌𝑬 しちゃだめーーー!

          暑いから外に出られない

          NHKから流れる戦争の映像を眺めてアイスを食べているとき、いま夏の真っ只中にいるんだな〜と息を深く吸い込みたくなる。夏はたくさんの顔を持っている。おじいちゃん家、扇風機、野球中継、焦げた卵焼き、そうめん、オカルト番組。その中でも戦争特番は鮮烈に夏の肖像をぼくに訴えかけてくるのだ。 ぼく少年が扇風機に口をあてがって宇宙人ごっこをしている頃、大人たちがえらく真面目そうな顔をしてテレビに映るグロテスクな映像を観ていたことを思い出す。戦争がどれほどの悲惨さを含んでいるのか、イマイチ

          暑いから外に出られない

          それでも生きてるんだよなー笑

          今まで最悪な休日は数え切れないほど過ごしてきましたが、今回の休日の最悪さでいったらもう五本の指に入るほどのものでした。二度と経験したくない夜を挙げるとするならば、帰る家がなくて博多の駐車場でスーパーで買ってきた半額ケーキを手づかみで食べていた誕生日前夜と40.6℃の高熱で意識が朦朧とする中、死ぬかもしれないと半泣きになりながら救急車を呼んだ四連休初日の夜のことは確実に挙げます。 人間、死を意識すると途端に「人生」だとかバカデカワードを掲げて過去の精算をしたがるものです。ぼく

          それでも生きてるんだよなー笑

          【初夏】梅雨アンチスレPart2020

          梅雨が心底嫌いだ。低気圧による偏頭痛のせいで鎮痛剤の空き箱は日に日に積み上がり、ほとんど嫌味のような湿気を帯びた空気は息を詰まらせる。梅雨と同化した6月の悪い記憶は安眠を遮ってくる。梅雨さんサイドからしたらえらく理不尽に思われるかもしれないが、素直に話せば、たいてい何かを嫌いになるその理由は理不尽なものだ。人は理不尽な感情にもっともらしい理由をつけるのが得意な生き物らしい。 日をすり減らすたびに当たり障りのない言葉選びをするようになった。今のぼくは天気の話ばかりしている。ひ

          【初夏】梅雨アンチスレPart2020