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ピアノの足台

ピアノのコンクールに子供が出る場合
子供の背が小さいと「足台」というものを設置します。
幼児ぐらいだと、箱形の、ほんとに重い足台を親は持ち歩きます涙

娘が小学2年生の時、初めて全国大会に行ったときはこの足台と
スーツケースと娘の手を引いて東京の街を歩きました。
エレベーターに乗るために、超絶急な階段を上り、端から端まで歩いて
やっと辿り着いたこととか、
コンクールが終わって会場を出てすぐ隣にあったセブンイレブンで
「これ、宅配で」と言って即効家に送り返したこととか、
「これ絶対24㎏くらいあるわ💢」と思ってたけど、帰ってきて
はかったら7㎏しかなかったとか、そんなことが思い出されます。

この重い足台を卒業しても、更に子供の背が小さい場合は
もう少し軽くて、補助ペダルをピアノのペダル部分に装着するタイプ
など、足台も進化して軽くなるのだけれど、ずっと心の中で
「早く背のびろ」と思い続けます。
そしてこの足台。コンクールによってはスタッフの方が設置してくださる
ありがたいコンクールもあるのですが、たいていは親が設置してください、
となります。
子供自身ができる場合もあるのですが、どうしても時間がかかるため
基本は親がやります。

足台はガコっとつけて、はい終わり。というものではなく、
子供の背に合わせて高さもかえ、その子供によっては、ちょっと
浅めに置くとか深めに装着とか、足台が滑るから、台の下に
滑りどめのシートを敷いてから足台を置く、などなど
個人によって注文は異なります。

親と子供がステージに一緒に出てくる
→子供お辞儀→親、足台設置→親、ステージ去る
→子供弾く→子供お辞儀→親出てきて足台撤収

という流れですので、親は子供の演奏を席ではなく、舞台袖で聞くことになります。
舞台袖のお母さんは様々です。
子供の演奏にのって体を動かす人、そこで息継ぎ!の時に一緒に
息継ぎする人、ドキドキして音が遠くに聞こえてしまい
演奏が良かったんだか悪かったんだかわからない人などなどです。

ちなみに、私は、あるコンクールの時、そこの会場の駐車券を
なくしてしまい、演奏直前の娘に「駐車券知らない?」と聞いて
「知らないよ。もう、順番だから行くよ」と言って娘が演奏している間
駐車券を探しまくったという経験があります。
ちなみにそれは見つからず駐車場のおじさんに「10時に入ったんです・・・」と言って「もう!次からはダメだよ!」と言ってもらい
正規料金で済んだ、ということがありました。どんな演奏をしたかは
もちろん全く覚えておりません。

とまあ、そんなことを数年繰り返した後、やっと足台から解放され
親は座席で娘の演奏を聴くことができるようになるのです。

というわけで、子供の足台をつける、という一つのことで
色々ドラマもありますし、母親の出番も重要なわけです。

さて本題はここからです。
先日、人に聞いた話です。
ピアノコンクールの日、あるお母さんが小さい弟を連れていて
本来は親に預ける予定だったけれど都合が悪くなり、自分で連れて来なければいけなくなったという状況に。
娘は足台が必要な年齢で、でもそのお母さんは弟を常に抱っこしていなければいけない状況。
足台の設置ができない、ということになりました。
そこでそのお母さんはスタッフの人に足台の設置をお願いしました。
このコンクールは「必ず自分サイドで足台を設置すること」という決まりのコンクールで、かつて例外はありませんでした。
一度断られたお母さんはそれでも何度もお願いして、結局どうにか
スタッフの方に足台を設置してもらうことができました。

さて、この話。いくつかの問題点と、今後どうすべきなのか、という話に
つながります。

まず、私の目線から書くと
私は周りに助けてもらえる人が(親、兄弟、親戚など)いなかったため、
ベビーシッターさん的な人を何人か確保していました。
いざ、というときのための準備をしていないと
子供は「いざというときに熱を出したり怪我をしたりする生き物」なので
「保険」が必要だったのです。
ですから、私が同じ立場だったら、ベビーシッターさんに弟をお願いして
コンクールに行ったと思います。

どうしてもその保険が無かった場合、現地で知り合いのお母さんに
子供を抱っこしていてもらうのは悪いので、足台の設置をお願いするかも
しれません。あるいは最終手段として聞きにきてくれていた先生にお願いするか。

「足台は自分たちで設置」というルールは絶対だと思うので
スタッフにお願いするという選択肢はなかったと思います。

かつて「スタッフが設置する」ということがなかったコンクールで
初めてそれをやってしまった場合。
絶対といっていいほど、これを見ていた他の人がいて
「あの人はスタッフがやってくれていたので、じゃあうちも」と
なる可能性がでてくるわけです。

私はこの話を聞いたときに「なんてお願いをしてしまったんだ!」と
思って驚いたし「それは絶対スタッフさんも引き受けるべきでは
なかったのでは」と思ってしまったのですが。

はたしてこれは正しいのか。
少子化少子化って言われてる今、金さえもらえば産むんだろ?と
思っている政府のおじさんたちは問題外だとして、
よく言われるのが、子供を育てる環境が整っていないということ。
ベビーカー押してたら邪魔と言われ、子供が泣けばうるせえ、とおやじに
怒鳴られ、妊婦さんが専用席に座ってたら舌打ちされ、
子供がうるさいから公園なくしたり、保育園なくしたりする世の中。
そら、子供産まないよなあと思います。

今回のことももしかしたら「小さいお子さんがいても
安心して参加ができるように」するためには、スタッフさんのご協力が必要なのかもしれません。

何が正しいのかわからないです。
子供を育てやすい環境=子供がいるからしょうがない
という免罪符にはならないと私は思っています。
「小さい子供がいて、仕事が遅れます」と言う人がいますけど
いや、それは関係なくない?と思うのです。
「小さい子供がいます」だからどうした。そのために遅れないように
支度することが必要だし、仕事は仕事だろ、と
思っちゃう私のような人間が、子供を育てにくい環境にしてるの?

今回の足台問題に関して
お願いした人は、無理を言ってやって頂いたスタッフの方には
心から感謝し、今後は同じようなことが起きないように
色々段取りを組んでおけばいいと思うし
(今回のことに限らず、子供がいて突発的におこることは
今後もあるだろうから)、
それを周りで見た人は「大変だったんだな」と思うだけにして
「じゃあうちも」というようなことはしないでもらいたい
と思いました。
結局、誰かがガチガチのルールを作ることでは解決せず
一人一人の良心とか常識とかそういうことにゆだねられるのかもしれない。
曖昧だけど、自分の頭で考えて行動していこうと
思ったのでした。

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