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欲しいだろう言葉

私は優しさが不足気味で、というかなくて
人に対して「優しい」言葉をかけてあげることができない。
私が心の底から好きで心配で力になりたいと思う人には
ぐいぐい近寄って行って、おせっかいか?ぐらい色々やりたくなるのだけど
「具合悪いアピール」とか「忙しいアピール」して来る人には
「大丈夫?」とか「大変そうだね」とか
言ってあげられないのだ。明らかに向こうはそういう言葉を待っていそうなのだが。
待たれると出せない・・・なぜ?
「死」に対して特別な感情もない。生きている全ての物の
すぐ隣にあるもの、というぐらい「みんな、いつどうなるかわからん」と
思っている。
強いて言うならば死に対して準備できていない不安はある。
私は今死んでも「楽しかった!」って死ねるけれど
病院の借金とか色々な契約の解除方法の整理をしていない。
遺された子供の面倒は夫がどうにかするだろうとは思うけれど、主に私が面倒を見ているネコの世話は心配である。
娘がピアノやめないで続けてくれるか、も心配事の一つだ。
まあそれぐらいで「死にたくない」とは別に思わない。
だから、もうどう考えても老衰・・・というペットに対しての
治療は躊躇してしまう。

癌になる動物も多いし、人も多い。
私の両親も癌だし、あっちでもこっちでも癌になる。
だから患者さんが「私の母が癌になって・・」→だから大変で
ペットのお世話ができない、という話につながるのだけど
私にしてみれば二人に一人は癌の世の中
「昨日買い物に行って」っていう話と同じぐらいの感覚で聞いてしまうから
「はい。」としか相槌を打たない。
別に「それがどうした」とかも思わないかわりに「それは大変!」って
思わないのだ。だから相槌は「あ、はい」。患者さんはたぶん
「それは大変ですね」を待っているに違いない。顔も雰囲気もそれを
出している。だったらそうやって言ってあげればいいのだけれど
なんせ待たれると出せない・・・。
さすがにこれは問題だよねえ、と友人に言ったら
「そうだねえ。せめて○○ですね」って言ってあげたらは?と言われて
「それは名案!」と思い、その時何度か練習したのにその後使ってないからなんて言葉をかければいいのか忘れてしまった・・・また友達に聞かねばならぬ。
今日も「この前約束していたのに具合が悪くてこれなくてすみませんでした」という人が来て、いや特に予約制でもないし別に構わないよと心から思っていて、でもその人が「具合が悪くて」というたびに
「コホコホっ」ってわざとらしい咳をしたり息づかいを荒くしたりするものだからちょっと引いてしまい「(猫ちゃん)お大事に」と声をかけて
終わってしまった。たぶん「大丈夫ですか?」が欲しかったと思う。

うーん、やっぱり声をかけるべきですよね。
人としての正解は「それは大変ですね」と「大丈夫ですか」なのは
わかっているのだけれどいかにも、な雰囲気を出されると・・・・。

というわけで、いっくらアピールしても優しい言葉をかけて
もらえないうちの子供らは具合悪いアピールを全くしない。
だからアピールなしで、口数が少なく顔色が土気色をしているときは
本当に具合が悪い、となる。
夫はアピールしがちだが完全に無視される。けど懲りずにアピールする。
私も懲りずに無視する。

私が本気で「大丈夫?大丈夫じゃないよね?」と思うときは
そう言うし力になるから黙って待ってて。

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