「遥かなる未踏峰」ジェフリー・アーチャー
ジェフリー・ディーヴァーの「ボーンコレクター」を読んだとき
それはもう興奮した。「私が求めていたのはこれ!!!!」と思った。
連続殺人もの、どんでん返しが大好物。
夢中で読んで「なんて面白いんだ。この人の本を買いあさろう」と決めて
買いまくった。その後もリンカーン・ライムシリーズはしばらく読み、
女性の捜査官シリーズもほとんど読んだ。それからちょっと離れて久しい。
最近「山もの」を読むことが多くて、そうするとアマゾンが「これはどうかしら?」とオススメしてくるのだが、そのオススメの中にこの本があった。
実在の人物であるジョージ・マロリーの伝記的小説らしい。
山!更に「ジェフリー・ディーヴァー」!これは面白いに違いない!と思い即買い。
マロリーは「なぜ山に登るのか。そこに山があるから」の人だが
エベレストの頂上に到達したかどうかはわからずじまいで、帰還せずその75年後に頂上付近で遺体が見つかったそうだ。
実在のマロリーを使ったミステリーか~と読み始めたら
ミステリーの要素が全くない。マロリー、純粋に山が好きな男子。
惚れた女と結婚して子供もできたけど、エベレストに登りたいし国からも「登ってくれ」と言われて後ろ髪をひかれつつも3度もエベレストに行く。
ミステリー作家もこういう本書くのか~とふと作者をみたら
「ジェフリー・アーチャー」。ケインとアベル書いたヒトじゃん
またやっちゃった・・。
そうです。前にも「ジェフリー・ディーヴァー」だと思って買ったら
アーチャーさんで、妙にまじめな本だな、と思ったら
ディーヴァーじゃない!と思ったことあり。
というわけで、もちろん「全く」ミステリーじゃなかった。むしろ事実に忠実の伝記的小説だった。
マロリーは子供のころから高い所に登るのが好きだった。満ちてきてるのに海の中にある岩に夢中になって登る姿をみたお父さんは一抹の不安を感じたとか。不安的中。エッフェル塔にも登っちゃうしヴェネチアでも壁に登って警察に追いかけられるほど。
「そこに山があるから」は誤訳で本当は「エベレストに登るのはなぜか」と聞かれて「そこにエベレストがあるから」と答えたそう。
そのセリフだけを知っていた時、なんとなく山登りの男がちょっと抽象的にかっこつけて言っている姿を想像したのだが、たぶん違う。
なんでパン食べちゃったの!!って犬に怒ったら「いや、だってすぐそこにあったから・・」って顔するのと同じというか・・そんな印象。
山が好きで奥さんが好きで、でも山に行ってたら仕事できなくて
お金もないしどーしよ。みたいな男なのだ。奥さんがお金持ちの家の娘さんだからそのお父さんに相当援助してもらっている。
子供は3人もいるのに山にばっかり行っていて奥さんにまかせっきり。
自分は山で毎日奥さんにお手紙を書く。奥さんは止めたいような止めたくないような。
という「私ならこんな夫絶対嫌」と思うような男だった。でも憎めない。
かといって「少年の心をもつ男」という風でもない。たぶん精神的には大人だと思う。
結局エベレストに登ったのか登っていないのか。それは誰にもわからないが
この本では作者が「こっちだろう」という結末で書いてある。
私もそう思う。
というわけでジェフリー・ディーヴァーの新シリーズをみつけたので
それをカートに入れてある。