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3回目のジョーカー:フォリアドゥ③

そしてまんまとリーのトラップにはまったアーサーは
リーが求める物「真のジョーカー」だと気付いたのか気づいていないのか。
なんせ「僕を僕のまま受け入れてくれた初めての人~」って歌ってたからなあ。
そして、まだアーサー色が強い、でもちょっとジョーカーっ気が入ってきたアーサーが歌う恋の歌をうっとりみるリー。
もしかしたらそこに本当の恋はあったのかもしれないなあと思う。
ただしリーはあくまでも「ジョーカー」が入ってないとダメだと思うけれど。だからそもそもリーは罠をしかけたつもりはなく、憧れの「イッちゃってるジョーカー」の狂信的なファンだけだったのだろう。
そんな人がすぐそばにいたものだからリーも恋におちただけなんだろうな。
とくに悪だくみはなかったけれど、そこはやっぱり女のひとだから
駆け引き上手でアーサーを振り向かせるためには嘘もつかないと。なんだろう。自分でも言っていたけれど。
「私は何者でもないから」。

そして裁判が始まる。
リーに恋するアーサーだったり、自分の正体が暴露されてキレてジョーカーになったり。
ジョーカーはあくまでもアーサーが元にあるから「ジョーカー」単独だけでは成り立たないと思う。やっぱり別人格ではないと思う。
だから弁護士がいうところの「別人格のジョーカーが罪を犯したのであってアーサーに罪はない」ということは成り立たないだろう。
でもアーサー色が形をひそめたジョーカー。これがかっこいい・・・。

私がアーサー、ジョーカーをかっこいいと思ったシーンは二か所。
ジョーカーになりそうなアーサーが歌う、そんな場面をすごく冷静に見るアーサー。窓際に座り煙草を吸う姿。これがめちゃくちゃかっこよい。

そしてもう一つは、裁判所でほぼ純粋なジョーカーになった時に
そこにいる全員に凶暴になってかかっていく、というシーンがあるのだが
(全て妄想だけど)その時に吸っていた煙草を床に落とすシーン。

この映画において煙草ってすごく重要な役割を果たしていると思う。
1作目では相当吸っていた煙草。それはアーサーであってもジョーカーであっても。それが刑務所という場所柄なのか最初は全く吸っていない。
それが色々な人に会うにつれどんどん本数が増えていく。
そして吸い方も微妙に違う。アーサーは大事に大切に吸うけれど
ジョーカーの煙草の扱いはぞんざいだ。だから、ジョーカーとして振り切った瞬間、火をつけたばかりの煙草を床に捨てることができるのだ。
あれがアーサー部分が多ければたぶん吸い切ったと思う。
でも、落とすシーンがめちゃくちゃかっこいい!!

あ、まだあった。
振り切ってジョーカーになっているときに、リーと結婚式をするシーンがあるのだが、そのエスコートするジョーカーはまさに「男」なのだ。
アーサーは母親に「童貞」と思われているような男で
そりゃ突然笑い出すようなピエロを仕事にするような人に恋人はまずできないだろう。1作目でも妄想で恋人がいるけれど、あくまでも妄想に過ぎない。
そんな、童貞でキスもしたことがあるのかわからないようなアーサーだから
リーをエスコートする姿もまだなんとなく様にならない。むしろリーにリードされて色々やっている感じ。
でも振り切ったジョーカーは「慣れた男」だった。
もうその姿がかっこよすぎて❤
もし、これも計算しての演技だったらすごい。

リーはたぶんこのジョーカーが好き。
だってかっこいいもん。
社会に不満がある、ジョーカーと同じメイクをして裁判所の周りを
うろついている人もこのジョーカーを求めている。
アーサーももしかしたらそんなジョーカーに成り切りたかったのかもしれない。
でも、刑務所に戻って来たときに看守にぼこぼこにされてまたアーサーに戻される。
そして一番、アーサーに戻らざるを得なくしたのが
パドルズの存在だった。
つづく

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