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マイベスト作品を検討する。映画版①

好きな映画なにかなーと考えた。
この前好きな曲ベスト3に入るわと言ったらその3曲とはなんぞや、と純粋に聞かれ答えられなかった経緯から
映画や本も「ベスト3に入るわ」と言うけど、ほんとに「ベスト」ってなにかなと考えてみた。

何度も見ているとか読み返した本となると
それは「ミニミニ大作戦」だったり「スラムダンク」や「柔道部物語」に
なるのだが、じゃあそれが私にとってのベストなのかと言うと
たぶん違う。

なんか自分のベスト○○を言うときに不思議な感情になることがある。
それは友人の一番好きな映画とか本を聞いたときのこと。
私が10個のマイベスト作品をあげたとしよう。
それは吟味に吟味を重ねてやっと出した答え。
もちろん「ああ、惜しくも選外」とか「すごい好きだけど
ここには並べられない、と思ったから自分だけの
審査員特別賞」みたいな作品が沢山ある。

友人が同じく10個のベストをあげた中に、その私だけの審査員特別賞とか惜しくも11位になった作品が入っていたときに
「あ、私もそれ審査員特別賞なんだよね。ってか
それ私ので、私もそう思ってたし!」っていう感情。
これ一体なに????と我ながら思う。
私もそれ好き♥でいいんだけど「いや、言ってないけど
私もそれすっごいいいと思ってるし、なんなら私もベスト10に
いれれば良かった・・」みたいな悔しい気持ちを伴うのなんで笑
私だけ?
だからベスト○○って絞れない。選外にも良い作品があるし
ベストには入ってないけれど「私のだから」ってものが
沢山あるから(だからナニソレ?)。
でもあえて考えてみた。

高校生の時のベスト3。
3位は「五つの銅貨」。ダニーケイとルイ・アームストロング(サッチモ)が出ていた映画だ。
タワーレコードという輸入盤CDを安価で沢山売っている
レコード屋さんが札幌のすすきの近くにあった。
私は休みと言えば白石区に並んでいた古本屋にチャリで行くか
地下鉄に乗ってタワレコに行くかをしていた。
ジャズにはまり、ジャズの雑誌を買い「このアルバムがおすすめ」と書かれている物を吟味して買うということを繰り返していた。
楽器はサックスが好きだったのでスタン・ゲッツやアート・ペッパーという人のアルバムをよく聞いていた。木管楽器や弦楽器が好きで、金管のちょっと耳をつんざくような音は好きじゃなかったからあまり聞かなかった。
ふとした時にサッチモのトランペットを聞き
優しい音だあ・・・と思った。トランペットの演奏は今でもあまり好きじゃないけれど彼の音楽は好きだったし何より歌が心に沁みた。
私のお葬式には「この素晴らしき世界」を流してほしい、と当時よく
考えていた。
何か良い人を見つけるとそこから穴を掘り出す性分なので
トランペットも少し見直してサッチモ以外の曲を聴いてみようと思って
出会ったのが「レッド・ニコルズ」という奏者のアルバムだった。
結論から言うと「やっぱりトランペットあんまり好きじゃないな」だったのだけれど、レッド・ニコルズをモデルとした映画があると知った。
それが「五つの銅貨」だった。

ダニー・ケイ扮するレッド・ニコルズは田舎から出てきた
トランペット奏者で、とあるバーで演奏していたサッチモに才能を見いだされ「またどこかで会おう」と言ってもらえる。自信をもったレッド・ニコルズはそこで出会った奥さんとバンドを組みアメリカ中あちこちを演奏旅行をして歩く。その内子供ができるが、なんせ旅をする生活なので連れて歩くわけにも行かず寮制の学校に入れる。あるとき病気をした子供は足に病気が残り、更に寮制の学校に入れられたことで傷つき、父親であるレッド・ニコルズに心を閉ざしてしまう。とても仲が良かった父娘だっただけにショックを受けたレッドは音楽を捨て、一カ所で働ける仕事に就き子供の治療と
子供の心を開いてもらうことに専念する。
何年も経ったころ、父親が有名なトランペット奏者だったと知った娘は父親に「音楽をやってほしい」と望むが、もう何年も楽器を触っていない
レッドはかつての音楽を取り戻すことができず・・・
という話だ。

レッドとサッチモの交流シーン。アドリブで二人でセッションするシーンや
ダニー・ケイが演じる温かい人柄のレッドや
古きアメリカでレッドと対等に接する素敵な奥さんや
娘とレッドが絆を復活させるところや
ワンシーンしか出てこなかったけれどめっちゃ美味しそうなニューヨークチーズケーキなるものが私を虜にした。
ちょうど獣医になるか音楽大学に行くか、みたいなことを
考えていたときでジャズに目覚めた私は音楽の道に進みたくて
仕方がなかったけれど、色々なセッションを聞いたり見ているうちに
「私には無理だー」と思っていた時でもあった。
音楽が好き♥の最高潮に見たこの映画。めちゃくちゃ刺さりました。そして
サッチモの温かさよ・・・・💧

大好きなシーンはこの映画のタイトルになっている曲を
ダニー・ケイが娘に歌うところ。
夜中までポーカーをやっているお父さんにくっついて
ポーカーをやる娘。それを知って怒るお母さん。
無理矢理寝かせられて泣く娘に「五つの銅貨」という歌を子守歌がわりに歌ってあげる場面です。

一個の映画書いて終わってしまった・・・

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