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「罪の轍」奥田英朗

普通、本の裏に載っているあらすじって割と読んですぐに起きること
が書かれていて、話の本題は読み進まないとわからない場合が多い。
が、この本のあらすじは相当読まないと、というか終わりに近づいて
やっとあらすじの内容にたどり着く、というものだった。
何度裏を読んでもその内容がでてこないので「おかしいな・・・」と思いながら読んだ。

礼文島で育った窃盗壁のある若者が大罪を犯し、その裏には生い立ちが関係している。小さい罪ばかり犯していたこの若者が大事件に関与しているのでは、と追いかけた刑事が少しずつ犯人を追い詰めていく、というもの。

東京オリンピック前の日本が舞台で時代は少し古い。東京から犯人の生まれ育った礼文まで行くシーンがあるが、それも電車と船を乗り継いで行くから遠い!警察は煙草吸いまくり、電話もピンクの公衆電話で小銭を何枚も持っていないとかけられないし、やくざ、警察の暴力など
昔の火曜サスペンス劇場を見ているようだった。

本屋さんで本を買う時、なんとなくタイトルに惹かれ裏をみてあらすじを読み、最初の数行を読んで相性が良さそうなら買う。
著者、奥田英朗氏の本は割と読んでいると思うがタイトルを見て
「ああ、この人の本だったのかー」と思うぐらいで「奥田さんの本だから買う」というところまではいっていない。だからこの本も本屋さんで見た時に
「奥田さんの本だ!」と思ったわけではないのだと思う。タイトルに惹かれ
中身を見て購入したのだと思うが、刑事ものはあまり好きじゃないし
連続殺人ものでもなさそうなのになぜこれを買ったのか今となるとよくわからない。まあ、そういう本は割とある。たぶんその時の私との相性だったのだろう。

家のあちこちに本が置いてあって、その場所場所で適当に手にとったものを読む。色んなカバンに適当に本が入っていてそのカバンを持ってでかけた時に入っている本を読む。だから読み終わるまでに数か月かかる物もあるのだけれど「これオモシロ!」と思ったら布団の所まで持っていくことにしている。本の格上げである。
今回の本は最初から布団の所に置かれていたので、いわばうちの本の中でのエリートである。布団の所にある本はとりあえず毎日は読まれるからだ。
ただ、そこで入り込むのに時間がかかるような本の場合、本棚に戻され
その本はしばらく日の目をみない。
「罪の轍」は割とギリギリのラインだった。本棚に戻されそうだけど
もう少し読んでみるかーと思いながら読んで、半分を過ぎてやっと
「面白いかも?」と思った本だった。

ちょっと重くて歩みが遅かったので、次に読む本を何にするか迷っている。
ライトなエッセイという気分でもなく、外国の殺人ものもちょっとすんなりこない。今はまっている大河ドラマ的な濃い本を読むにはエネルギーが枯渇気味。

と、本棚を見まわしながら次の本を選んでいる時が一番楽しいのだけれど。


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