音楽は終わらない 中編
今までにない不安の中で迎えたコンサートの日。
ちなみに先生が主催して、ピアノ教室で作っているコンサートですから
準備などはすべて教室の先生方、お母さん方、卒業生、卒業生のご家族
などで行われます。外部のスタッフの方もいらっしゃいますがほぼほぼ教室の関係者で準備をします。
3か月前のメンバー顔合わせから始まり、そこからそれぞれの役割をこなし、それ以外に自分たちでできる範囲のことをやっていきます。
ですから、子供の演奏に対しての責任も負いますが、コンサートの準備に追われながら日々を過ごしてきました。
まあそれでも、わが子が出るコンサートですから
当たり前といえば当たり前。苦労も、使ったお金も時間もわが子に還元されると思えば「やるしかない」のですが、この教室のすごいところは
わが子が卒業して、もう何の関りもなくなったお母さんや卒業生の方が
この日のために遠方からかけつけてくれて、出演者よりも何時間も前に会場入りをしてくれお手伝いをしてくれるのです。設営、受付、後片付け
なんでもです。差し入れもしてくれて、出演者の荷物も車に運んでくれたりして、そして最後までにこやかに応援してくれて「みなさん素敵でした!」ってお褒めの言葉までかけてくれるのです。
私、子供が卒業したらそんなことできるかなあ・・・・
まあとにかくそのような温かくも厳しく、怖くもあるコンサートが
始まりました。
子供が小さいうちは付きっきりで着替え、ごはん、演奏などの管理を行っていましたが、もう今回は着替えの手伝いだけして、あとは本人と先生と仲間にお任せ。なんなら着替えも自分たちで手伝いながらできるようになりましたので、会場に子供を置いたら私たちは自分の仕事に専念するだけです。
それでも途中、ゲネプロという、リハーサルみたいなものがありますので
それを会場で見せていただいたり、他の子どものダメ出しを勝手にしたりして楽しませていただきます。
ほんの数日前の弾き合わせで「大丈夫?」と思っていた子供たちの演奏。
ゲネプロを聴いていたら、
え?良くなってない???しかもめっちゃよくなってる!
とびっくり。
この前演奏していた人たち、あれ、本気じゃなかったの?ぐらいめちゃいい!前編で書いた大学生の女の子。もう完全にピークをこの日に持ってきました、と言わんばかりの圧巻の演奏。ゲネの演奏を聴いた先生も
「さすが。この日に合わせてきたのね。本番も楽しみにしています♡」の一言。
そして今回はプロのピアニストも出演してくれましたのでその方たちも続々現れてすばらしい演奏を披露。
いやーーほんとにびっくりしました。
子供って、ピアノ弾きってすごいなあと思って。
うちの子どもは今回プロコフィエフのピアノソナタ3番を弾きました。
プロコフィエフは春にも一曲短い曲を弾いたのですが
ソナタは初めて。難解で理解に苦しむ曲でしたが、聞けば聞くほど
味が出てきてまったく飽きない。ただ、無機質な曲(だと思う)なので
家の中で大音量で弾かれると「うるさーーーーい!!!」となります。
家族の話が全く聞こえん。
お正月で全員がそろって特番でも見るか、の時間。
昼過ぎまで寝くさっている娘だから、そこから練習して夜までやる。
だからちょうどみんなが揃ってお食事の時間までずっとその爆音のピアノが
響きわたるのです。「なんでもっと早く終わらせてないのよ!」と兄たちの怒号も飛び交いそれはもうやかましい家の中でした。
この曲は大阪のコンクールでも弾きました。いっつもただ弾いて終わっちゃうコンクールなので、今回は気合を入れて出たものの・・・まあその時は
よい演奏だったなと思ったけれど結果は去年と同じ。入賞はしたけれど目標には届かず、でした。
一度本番を終えた曲を持ち続けることは難しいらしく、しかもそこからコンサートに向けて一伸びも二伸びもさせなきゃいけなくて、一体どうやるのか
もはや私にはわからんわ、という状態でしたが
前編の大学生の演奏のおかげで、なんだか深みというか厚みというものが出て「まだ出来たじゃん!!」と思いながら聞きました。
娘の演奏はゲネプロが一番よかったかな?本番は、聞いたことない音を弾いてしまったようで少し後悔はあったようですが、それでもやりきった感のある演奏でした。
そうして、心配して心配して迎えたコンサートは
みんながみんな「今日が一番いい✨」演奏をして終えることができたのでした。
話が終わらなかった・・・
つづく。
ゲネプロの時の演奏です。本番の時は近くで写真など撮れないため
この時にカメラマンの方が近づいて撮影してくれます。