僕はマルチの勧誘をされているのかもしれない
友達に誘われて街コンに参加した。
その友達は、年末に彼女を家に泊めたら出掛けている間に男を連れ込まれていた。
発覚した数日間は相当落ち込んだが、立ち直る為に行く決意をしたという。
僕は僕で、もう何年も彼女もいないのでワクワクしながら参加したら、そこで会った女の子から連絡が来て飲む事になった。
彼女は、元々教師をしていたが仕事が辛すぎて退職し、今は都内のエステサロンで働いていた。
僕にも身近に教師が居て相当忙しい話は聞いていたので、辞めるのも仕方ないし今やりたい事を出来ているなら素晴らしいと思う。
やたら仕事のモチベーションとか目標の話を深掘りされたのが引っかかったけど、それだけ仕事に情熱を注いでいるのだろう、と納得させた。
何よりも、全てのご飯を美味しいと言いながら食べている姿は可愛かった。
お酒も弱いのに飲んじゃって、顔が真っ赤になっていたのを覚えている。
その後、やり取りをするうちにその子の大学時代の男友達が主催するご飯会に誘われた。
会場を聞いたらレンタルスペースだった。
レンタルスペースをわざわざ借りて飲み会を開き、かつ知り合って日の浅い人を誘う意味はなんだ?
レンタルスペース 飲み会 誘われた
で、ググったらマルチ勧誘の体験談が出てきた。
「マルチ勧誘の飲み会に誘われたかも」と、街コンに誘ってくれた友達に相談したら「面白いから参加してみて」と返された。
他人事だからって適当に返されてる!
マルチだと思いながら金を払いに行くのは楽しくないから「ツーブロでよく喋る海外志向の30代いたら1000円もらえる」事にした。
(もちろん全てのツーブロでよく喋る海外志向の30代がマルチではない)
これで、普通の飲み会でも楽しく過ごせるしマルチでも1000円もらえる! ノーリスクだ! と勝ち確定の余裕をかましながら会場に向かう。
結果から言うと、ツーブロでよく喋る海外志向の30代はいなかった。
ただただ楽しくご飯を食べて終わった。
主催者の人はおとなしそうな雰囲気で、ニコニコしながらみんなの話を聞いていた。
その主催者と2人でご飯に行く事になった。
主催者の作ったカレーが美味しくて、カレーの話をしたら良い店を知ってるから一緒に行こうと誘われたからだ。
この時点で、「街コンで知り合った女の子」に誘われた「飲み会の主催者」とご飯に行く、人間の数珠繋ぎが発生している。
繋がりのテンポが良すぎる気がする。
変だと感じつつも、主催者の人に誘われたのは普通のチェーン展開しているご飯屋。
これはさすがに勧誘じゃないだろ、と思って行った。
最初はアニメやゲームの話で盛り上がっていたが、好きなアニメの話から「なぜその作品が好きなのかを考えたら仕事のモチベーションと共通点がある」という話が始まった。
僕自身は、作品の好きなポイントと自分の仕事のモチベーションなんて全く関係無いから相槌は打ちつつアニメの話に戻そうとしたものの、すぐにまた仕事の話に繋げて返される。
目の瞳孔が開いていたのと、やたら周りをキョロキョロ見ていたのが怖かった。
やり辛い人だ。
そう思っていたら、前の仕事を辞めた後に何もせず日々を過ごしていたけど、趣味の集まりで「生き方のアドバイスをしてもらえた人」に出会えたんだ、と切り出された。
その人との縁が今の独立に繋がって、ものすごい感謝してるという話が始まった。
さらに、その人はいくつも会社を立ち上げていてその全てが黒字経営。
僕が知り合った街コンの子や自分の兄弟とも会わせていて、皆その人のおかげで「生き方の軸」が明確になったらしい。
全く興味無い。知らない人の知らない話。
飯も食べ終わったし帰りたい。
切り上げる空気を作ってみても終わらせてくれない。
僕は今の会社でやりたい事をやれているし独立もする気無いと伝えた。
すると、もちろん独立を推奨するつもりは全く無い。
ただ、自分の軸を見つけられるから一度その「独立する時にお世話になった人」に会ってみないか? と、誘われた。
どう考えても会う理由が無かった。
友達が転職を考えているから、僕ではなくそいつと繋げた方が良いと言ったら、それもゆくゆくはしたいけど、まずは僕とその恩人で会ってからにしようと提案された。
この人はもうアニメの話をする気が無い。
悲しくなってきて僕は伝票を取って「さすがに店に長居しすぎてるんで出ましょう!」と言って無理矢理外に出た。
時計を見ると2時間近く経過していた。
外に出てからは、それ以上仕事の話はされなかったし2件目に誘われるなんて事も無く終わった。
明日、その人が主催するご飯会がまた開催される。
まだ完全にマルチ勧誘とは限らない。
純粋に自分の恩人を紹介したいだけかもしれない。
街コンに誘ってくれた友達にこの話をしたら「ミイラ取りがミイラになる、なんて事はないようにな」と言われた。
僕は今、行こうかどうか迷っている。