Amazon
ーーAmazonーー
2014年、Amazonの営業利益率は0.2%だった。
この0.2%という数値は日本の田舎にある駄菓子屋さんの営業利益率とほとんど変わらない。
誰もが知る世界屈指のサービスを持つAmazonはなぜ営業利益率がそれほどまでに低かったのだろうか。
ーー世界屈指のサービスを持つAmazonの挑戦ーー
Amazonと聞くと通販サービス「Amazonストア」をイメージする人が多いと思うが、
Amazonは通販サービス以外にも、
「AmazonPrime」という「動画サービス」や「AWS」というサーバーの仮想空間を提供する「Webサービス」、
また電子本「Kindle」を含む「デバイス」など、多岐にわたりサービスを展開している。
いまあげた代表的なサービスについてはもちろん成功といえるだけの利益をあげているのだが、
はじめに記したデータを見てわかるように、常に全てのサービスで成功しているわけではない。
その失敗した代表的な例が、
2014年に発売をした「デバイス」の「fire phone」であった。
「fire phone」を発売した2014年第3四半期、
Amazonはfire phone関連で1.7億ドルの損失を抱えたことを発表した。
原因は、多くの理由が絡んでいると言われているが、
一番の理由はOSがiPhoneのiosでもなくAndroidでもない「fireOS」だったことだ。
これにより使用できるアプリが極端に少ないことと、
故障や操作方法に対してあまりに情報が少ないため、
不便で仕方なかったという。
そういった経緯で買う人も少ないうえに買った人からの評価も酷評であった。
はじめからわかりそうな売れない理由がある中で、なぜAmazonはfire phoneを販売したのだろうか。
それは、「fire fly」というAmazonが独自に開発した技術があった為だ。
この「fire fly」、写真をとったもの全てを商品として認識し、
Amazonストアで販売しているものであれば、
全てAmazonストアからワンクリックで買うことができるという技術なのだ。
例えば、家で醤油が切れた際、その醤油の写真を撮るだけで「fire fly」がメーカー、商品名を認識し、Amazonストアに反映する。
あとは、fire phoneでワンクリックするだけで買い物ができ、指定した日に家に届くということである。
この技術にかなりの自信があったAmazonは独自のOSを拡張する一歩目としてfire phoneを販売した。
これが失敗し、Amazonは世界屈指のサービスを持ちながらも、
営業利益0.2%という数値を叩き出してしまったのだ。
ーー失敗を糧にーー
Amazonは今年、2017年からレジ決済不要コンビニ「AmazonGo」を出店すると発表しアメリカの一部では出店されている。
「AmazonGo」は、入店時に専用のアプリのバーコードをゲートにかざすだけで、
持ち上げられた商品が自動的にアプリに追加され、退店するだけで会計が終了するといった、
店員(会計)不要のコンビニだ。
もちろん、手に取った商品は棚に戻すとアプリから削除される。
いくら手に取ったり、棚に戻したりしても会計金額に誤差はないというからすごい。
この手に取っただけでアプリに追加されるという想像もつかない技術は棚に備え付けられた重量センサー、
圧力、赤外線や、音声から人間がどこにいるか把握するという高度な技術をたくさん使用している。
しかし、一番ネックとなっている技術は前述のどれでもなくカメラの技術である。
カメラの技術では、手に取られた商品をカメラで認識することで商品をアプリに追加する。
ここで使われている機能こそが2014年、fire phoneで不作となった「fire fly」だ。
2014年、カメラで商品を認識していた技術をビデオカメラでもできるように改良し、
2014年に失敗に終わった機能を最重要技術として、再度使用したのだ。
ここにAmazonが長きに渡り多くのサービスで成功をしている理由がつまっている。
ーー最後にーー
2014年を取り上げて書いたが、
Amazonは創業1994年以来、
営業利益率が10%を超えたことは一度もない。
Web業界の4大トップ(AGFA)の他3大企業
Apple,Google,Facebookは30%近くの営業利益率を記録している中、
Amazonは世界のトップを走りながらも儲けてはいないように見える。
しかし、実際は違う。
Amazonには世界トップであろう数の支援者がいる。
その支援者により会社が危機にさらされたケースはないと言われている。
こうしているいまもAmazonは「AmazonGo」とドローンで配達をするサービス「Prime Air」をアメリカでテストし新サービスを日本に持ち込もうとしている。
そんなAmazonの最高経営責任者(CEO)であるJeff Bezos氏は次に狙うサービスをこう発表した。
「2020年中頃までに月の居住者に備品から食料まであらゆるものを配送したい」
馬鹿でしかない。
しかし、彼はきっとまじめだ。