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小噺】屋守りの呟き

三次の不幸


屋守り
である
通称【ヌシ】は
三次の身に
不幸が
迫っている
ことに
気が付いていた


{やれやれ、儂の出番か}





三次は
夜の
裏小路を
足早に
帰路を
急いでいた


その時
物陰から
ヤクザ風情
の男達が三人
道を塞ぐ
格好で現れた

「やい、三次!兄貴の女に
手を出しやがって!!」

ひとりが
そう叫ぶと
匕首を逆手に
構えて
三次に向かって
突っ込んできた


もはや、これまで
そう思った

その時ーー


{眠れ 眠れ 時よ眠れ}


【ヌシ】
の声が響く




三次は
目が覚めた


悪い夢を見たようだ
 




{時騙しの時計の術よ、感謝せい}


【ヌシ】
はそう言って
闇に紛れて行った




                                                       三次の不幸 完


       

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墨者〈bokusha〉
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