(3)紹介先の病院で精密検査が始まる
最初の病院で受け取った紹介状とCTの検査結果を提出し、追加の検査をしていきます。私の場合は、おそらく粘液性嚢胞腫瘍(MCN)だろうという所見でしたが、MCNに典型的な、いわゆる夏みかんの皮のような厚みのあるデコボコした皮ではなく、薄くてつるつるしていたため、漿液性嚢胞性腫瘍(SCN)の可能性もゼロではない、ただどの疾患だとしても典型的な症例ではない、とのことでした。病名がはっきりしないまま進んでいくのはちょっと不安な気もしましたが、いずれにしても大きさ的に切らないわけにいかないし、切ってみればわかる、ということのようでした。
それでは、受けた検査を順に記していきます。
血液検査
膵臓がんによく使われる腫瘍マーカーであるCEA、CA19-9、CA125の数値が正常値におさまることを確認。先生はもっと細かくいろんな数値をご覧になっていたと思います。
MRI検査
正直、CTとの違いがよくわからなかったのですが、こちらはCTのような造影剤の気持ち悪い感じがないので、身体はラクでした。この検査で膵臓の様子を詳しく調べたのだったかな。膵臓自体はきれいで、膵炎があった形跡はないと言われました。それで、慢性膵炎後にできる仮性嚢胞の可能性は消えました。
超音波内視鏡
これがしんどかった! 胃カメラも経験したことのない私にとっては相当な拷問でした。紙コップで麻酔薬を飲んだあと、マウスピースをくわえさせられて、先端にカメラのついたぶっとい管が胃の中に入っていくのですが、すごい苦しい。点滴でも麻酔を入れているので意識は朦朧とはするのだけれど、他の人の体験記にあったような「ウトウトしているあいだに終わっていた」というのとは程遠い。痛い、苦しい、えずきたいのにできない。
終わってグッタリしていると看護師さんが半笑いで「お酒強いですか?」と聞いてきた。どうやらお酒に強い体質だと麻酔が効きにくいというのがあるらしい。酒飲みのかたは覚悟されたほうがいいです!
超音波内視鏡では、細胞診・組織診といって、カメラで診るだけでなくて組織を少し切り取って、その部分を検査することもできるのですが、私の場合は、それはありませんでした。切り取ることで膜が破れて、腫瘍の中身がお腹の中にぶちまけられることになってはいけないので。
腹部エコー
妊娠中に赤ちゃんの様子を見るためのエコーと同じものです。何回か通うあいだに主治医の先生がエコーを見たこともありましたが、腹部エコー専門の別の先生が詳しく見る検査もありました。
CT検査(再)
検査が進むにつれ、診断のための検査から、手術のための検査に変わっていきます。2回目のCT検査では、血管の走行を診るなど、手術に備える意味合いがあったそうです。また、約2か月前の最初のCTの時点と腫瘍の大きさが変わっていないことも確認できました。
以上が、私の場合の検査内容でした。
本来はこれに加えて胃カメラと大腸内視鏡検査と肺活量の検査も加わります。胃カメラと大腸内視鏡検査は、「膵臓の腫瘍の手術をしたけど、胃腸にも病気があって、二度切ることになっちゃった」ということにならないように検査しておく、というもの。ですが、胃腸は大丈夫そうだよね、はい、胃腸は元気だと思います、という簡単なやりとりだけで検査は省略。というのも、新型コロナ対策で、病院全体で「減らせる検査はなるべく減らそう」という流れになっていたため。大腸検査もなかなか痛そうですし、合せて2万円くらい出費が抑えられたので、内心ラッキーと思っていました。
次回は、手術前にあった検査以外の項目について書く予定です。正直、今回と次回は、同じ病気の人以外は読んでもそんなに面白いものじゃないと思います。でも、私は自分が病気だとわかって不安だったとき、こういうのが読みたかったんですよね。どんなステップが先に待っているのか、わかっておきたかった。そういうわけで、忘備録も兼ねて淡々と書いていきます。
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