見出し画像

一次情報の大切さ【Day32】

(この内容は2020/12/3のことを書いています。)

移動の軌跡:紋別→計呂地→常呂→網走(総移動距離:107km)

目標に掲げていた網走に、3台の車を乗り継いで辿り着くことができました。「脱獄が最も困難な刑務所」として、何となく聞いたことのあった"網走刑務所"。一生に一度は見ておきたいと思っていたので、網走に着いた時は感慨深かったです。

ご飯が美味しくて、人が優しくて、素敵な場所が多い。すっかり虜になってしまった、この北海道の、礎を作り上げたのが、収監されていた囚人たちでした。過酷な環境で道路掘削や、兵舎建設などに従事されていたそうです。厳しい時には-20℃程まで下がる網走。多くの犠牲が伴ったと言われています。

博物館網走監獄に行き、実際に昔使用されていた監獄(旧網走監獄)の中にも入ったのですが、禍々しい雰囲気に満ちていました。あの厳しい環境で、生き永らえた囚人たちは本当に逞しい…

(車内でのお話し)
先程、3台の車に乗せて頂いたと書いたのですが、この日は畜産・福祉に携わっている方からそれぞれお話を聞くことができました。

Oさん(肉用牛の繁殖経営)
Oさんは、釧路で40年間子牛の繁殖を行なっている方で、紋別にある牧場を訪れた帰りでした。
30分ほど乗せて頂いたのですが、新鮮な発見がたくさんありました。
ところで、「牛が生まれてから、成牛(屠殺できる状態)になるまで」何年間かかるかご存知ですか?

正解は3年間です。

肉用牛の飼育には、子牛を生産・販売する「肉用牛繁殖経営」と子牛を購入して、育ててお肉として販売する「肉用牛肥育経営」があるのですが、Oさんは「肉用牛繁殖経営」に携わっているそうです。子牛が販売できるようになるまで約1年間、休みなく丹精込めて子牛を育て、販売する。この作業を繰り返して40年というから想像が尽きません。

Oさんは、畜産農家は食いっぱぐれがない仕事だと仰っていました。それだけ必要とされている仕事なのだと思います。
そして、このコロナ禍でも、畜産農家のニーズはより高まったと言えます。
海外からの食肉の輸入量が減ったこと、海外(ベトナム、フィリピン)から研修生が来ないことから、とにかく仕事が忙しく人手不足だということをしきりに仰られてました。自分もお話を聞くまで知らなかったのですが、政府の畜産農家に対する支援も厚いようで、畜産に必要な機械など詳しいことは分からないのですが、およそ半額程度の負担で購入できるそうです。「国産のお肉を食べたい」というニーズって無くならないと思うし、畜産っていうのも面白いかも。なんて思いました。


Gさん(福祉従事者)
Gさんは福祉に従事されていて、『障害』という言葉をなくす活動に取り組んでいる方でした。
例えば、今でこそ『認知症』という病名は一般的ですが、それまでは『痴呆』という少し侮蔑的なニュアンスを含んだ病名が使用されていたと言います。同じように『障害』に代わる言葉を浸透させるために動いていらっしゃって、今回はその会議に出る道中で拾って頂きました。

認知症とは、「必要のなくなったものを脱いでいく時期」なんだと教えて頂きました。
まず「時間」。そして「場所」。最後に「人」を忘れていくと言います。
赤ちゃんは『人』→『場所』→『時間』の順で世界を認識していくので、逆の順番になるということを仰っていました。
とても分かりやすくて、納得できますよね。
噛み砕いて説明して頂いたお陰で、『認知症』に対する解釈の仕方を一つ勉強させて頂きました。

この日は、自分の目で見聞きすることの重要性を痛感しました。


現在、網走刑務所が長期収容者の施設ではなく、懲役8年未満のB級施設であること(今も劣悪な環境の刑務所だと思っていた)だって知らなかったし、畜産の現状、『認知症』についても、実際にお話を聞くまで知りませんでした。
大学で論文を書くときに、「一次情報(原典)に触れなさい」と先生が何度も仰っていた意味が少しだけ分かったような気がします。

面倒臭いかもしれないけど、自分で現場に足を運んで経験することが大事、と少し真面目な気付きを得た一日でした。

もし宜しければ、サポートをお願い致します!旅を充実したものにするために活用させて頂ければ光栄です😁