【毎週ショートショートnote】「戦国時代の」「自動操縦」
「信長様が壊れてしまわれた」
家臣のエンジニアたちは困惑していた。
「鳴かぬなら」と入力して得られる出力が「私が泣こうホトトギス」になってしまったのだ。
こんなの信長じゃない。
心当たりのある変数をいくらかいじってみるも「殺してしまえホトトギス」に戻ることはなかった。
桶狭間の戦いも。姉川の戦いも。長篠の戦いも。
異国から火縄銃と共に密かに伝来したディープラーニングを使い、これまでの戦データから算出した最適な作戦によって勝利を掴んできた。
高度な技術を平民に説明するのは難しい。僧侶が仏の教えを説くように、AIの出力を説く誰かが必要だ。
そこで祭り上げられたのがこの信長様だ。
しかしもう信長の頭脳はないも同然。これまでのようなリーダーシップを発揮することはできないだろう。
ならば敵に気づかれる前に信長という存在を亡き者にし、この計算機を破壊しなければ。
「何とかしてくれないか明智殿」
こうして電脳寺こと本能寺は跡形もなく焼き払われた。
(410字)
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前回のお題「ごはん」「杖」
以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。
アイディアの羅列
戦国時代の:武将、騎馬隊、
自動操縦:ドローン、AI、自動運転、
アイディアの組み合わせ
自動操縦武将の話:武将がAIで自動的に判断してくれる。AIが誤作動をする。武将の性格が変わってしまう。
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