【毎週ショートショートnote】「数学」「ダージリン」
「積分やる前に一息いれよう」
いつものように先生が紅茶を淹れてくれた。
「先生は紅茶派なんですね」
「ラマヌジャンに憧れてインドを訪れたときにハマってね。ダージリンやアールグレイを知っているかい。実はダージリンは茶葉の名前でアールグレイはベルガモットの香りをつけた紅茶のことを指す」
つまり、と先生はホワイトボードにベン図を書いた。
「これらは独立した関係ではない。ダージリンかつアールグレイも存在する。高1で習う要素と集合だね」
「今日の紅茶は何ですか?」
先生はホワイトボードのアールグレイと重ならないダージリンの部分を黒く塗った。
「アールグレイではないダージリンだ。ちなみにダージリンは収穫時期でファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、オータムナルに分かれている。これらは独立かつダージリンの部分集合で……」
「紅茶、冷めちゃいますよ」
「ああ、すまない」
私はこのティータイムが大好きで、いつも放課後に数学の特別授業を受けている。
(410字)
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前回のお題「スベり」「高等学校」
以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。
アイディアの羅列
数学:定理、法則、四則、インドの魔術師、
ダージリン:紅茶、インド
アイディアの組み合わせ
放課後のティータイムの話:紅茶好きな数学の先生がいる。その先生に数学を教えてもらっている。ダージリンとアールグレイは同じ次元の単語ではない。要素と部分のような関係。休憩中に授業のような話を始める。そんな時間も嫌いじゃない。
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