ヒマラヤ
ヒマラヤはずっとそこにある。わたしたちの営みをずっと前から知っていて「ああ、またか。」と一呼吸する間に生と死は限り無く繰り返される。
ヒマラヤには多分行くことはないだろう。ヒマラヤはとても有名で、いつその名前を知ったのかも、おぼえていない。元から私の中に「ヒマラヤ」はあったのだ。だから近くて遠く、遠くて近い。郵便配達員でさえゆけないところがこの世にはある。
重力から、この地から、離れたいと思う憧れ、かつて知っていたところへの憧憬。しかしこの重力の地に帰属することの暖かさ。苦渋に満ちて、かつ喜びに満ちて。
2002年12月7日作成 2021年2月27日 改訂