スケッチ06102021
目が覚めていつも通りの位置に座る。
ブラインドを全開にすれば
明るい部屋
この位置からは壁が見渡せて、絵が見渡せる。
そうやって、まだ働いていない身体で描きかけの絵を見ていた。
今朝はどうだ
なんと絵の仲間たちは、いない。
絵が消えてしまった。
ここはどこなのか、私は今日何をするのか
そもそも、消えたものと過ごした時間はどこへ行ったのか。
どこにも痕跡が見当たらない。
そうだ、昨日絵を送り出したのだった。
東京の展示場所に向けて。
その前日は、絵を一枚づつキチンと包んだ。
車の中の振動で酔わないように。
その時は、まだ消えていなかった。
ちゃんと展示の場所で会えるのだろうか。
壁に背を向けて、朝の身支度をした。
残しておいた、未完成の絵
壁にポツンと掛けて
日々のスケッチをコピーして、その周りに貼る。
新人たちは
初々しく壁の上で控えめだ。
眩しかろうと、ブラインドを締めた。
斜めの陽射しは五時半をすぎるとストンと落ちた。
消えた絵は
今頃東海道を走っているのか。
2021年10月9日 筆
*「絵が消えるとはどのようなことなのか」
このテーマは、継続していただけに、身体で感じ取った朝のことは書き留めておく。