皇帝になれ
言葉がない
黄色いバンが走りだす
ただ存在するだけでエネルギーがなくなる
ゆえに子供たちは
自転するものに頬を擦る
腰をくねらせたドーム型の器
なにかを溢すこともできない
駱駝が駆ける
すると穴に落ちる
海の沈黙を噛み切る
貫くのは風と光の中間体なのだが
それが見えないのはなぜだろうか
ついぞ困ったことのない壁を前にして
腹の内側を貶んではならない
受難せよ、だが旅をするな
風景がいやらしい音色の中で放つ匂いを
物流の類稀なコードとして
卑しくも持ちだすことになるからだ
ひどい熱にうなされろ
死と失望がのびやかに踊る手前
しっとりと濡れた雲がひらひらと動く
だが、カラカラに乾いた喉だけが
真実という矜持を持っている
血管が浮き出た足のなまめかしさ
それを知ってなお大地の支配をうけることはできない
言葉がないのは
存在の疲れが秘めている神聖さを
守り抜こうとするナルシスの
下劣な沈黙に他ならない
そして黙ることが
その個人的な脚力に基づく限りにおいて
数々の受精と建築を遺しうるただひとつの
かろやかな反逆であった
反逆? そうではない
いまや我々はなにをしても野蛮だ
存在が海を渡ってゆく
災厄のほとりでは懐疑のないものたちが
隣人の上に深いかげを落としている
悲惨が飛び散る
悲惨が飛び散る
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?