体言のとどめ

別条はないかい?
よくあることだから
秘密にしておくよ
みんな嘘ばかり口にして
朽ちていってしまって

しまった、どこからがきみだったのか
わからなくなったよ
つまめる感傷は剥がせそうだね
黙り込んだひとから罪をみごもって
水に流して

説明に情状はない
別条はないかい?
みんなが追いかけている迷信で
なんとなく報われてみたい
砂を無数に選り分けて見せてよ——
谺する「それで?」

線を知らない水涯をすくい
記憶のスラブを斫り、ぽつりと
なにかを書きとめようとした、けど
忘れた

まだこんなところにいるのかと
驚きを隠せない
(ここは何度ですか)
ひとしきり泡を吹いたら
手だてなく洗体に棒を突っ込みたい
気持ちいい
けれど心地のない冥土からお祈り申し上げます

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