しばらくの布帛
川底を手繰ってブロードは
うみだされている
わからない指はほどけなければならない
しぶきをあげた星のひとつを拾いあげ
線が失せてゆく
線が失せてゆく
とろとろの残酷が内ぶたを回し
歯ぐきの薄桃色はときめいている
春が黄身をわってまわる頃に
暈を纏わってなめらかになりたい
印象をくゆる累々は花びらをふるい
その円錐をかすかに均すために
ふいごからは気色のない谺が届けられる
およそ同じ顔をした牛たちには
もう2度と肌を見せてはならない
古いオールが具体を削りとるとともに
船頭は自らを漕ぐのをやめた
残像が永遠になるから
ここは汽水域なのだ
忘れられつつある月が
切り落とされた空間に
無実のあしさきを浸している
すべての島に水平な影は
行く宛のない帆のたゆみを愛撫する
朝が来た
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