方解と花
核には雨が降っている
聖なるものの及ばない底で
これは会心の雨になるだろうからと
きみは目を瞑った
——星が燃えている
春、淡々と孵化してゆく光子が
みずうみの上で踊っている
透明なものは存在しない
その器官を指でひろげると
卑猥な音がするから——星が燃えている
雨粒がたがいに反感する頃
手の皺にひそむ祈りは呪いになって
見るものすべてがさらさらになるように
こころを削っている
鍵盤はころころとスケールを変え
肌か、もしくは大地になろうとする
コップ一杯の水気を失うために
双子は花を摘んだ
「星が燃えている!」
きいろい蕊を
原液に浸さないで
いずれ還るのだから——
不在のまなざしが
あどけない殺意を分かちあう頃
やさしく瑪瑙はふくらむ
そして善良な群れの中で
ろくにお喋りもできず
土をいじる
——朝露はどこへ
偽りの花束を贈ったら
この核をついてくれますか
恋をしましょう
聖なる像が割れるまで
きみが野を焼き払うまで
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