【回想記】父が消えた…⑤
Nさんの案内で現場を見せてもらうことになり、Nさんは現職の同僚にも一報を入れてくれました。この同僚は要注意です。Nさんも私と同意見で、探りを入れてくれたのです。
私は、父が働いていた会社に現場を見学することを告げました。
【Nさんの話と父の話をまとめた見解】
年金だけでは生活していけない高齢者を雇用し、「自分のような者を雇用してくれる所なんて他にはない」と言って、現状の処遇をふりかえることなく、文句を言いながらも感謝を忘れず働く、昭和の義理人情あふれる世代の人たちの弱みにつけ込んで、安い賃金、悪条件で使いまわし、死んだら放置する会社。
私の中にわずかに残っている良識に従って、今のところ会社名は出さずにいます。
父の仕事は、市の開発事業で埋め立て地を整備する際に、広大な土地に入場するダンプの往来があり、そのダンプが許可を得ている車であるかどうかを確認する仕事でした。
そうです。
市が絡んでいます。
Nさんの案内で、現場を見学する日がやってきました。
私は、長男を連れて行きました。
身内の数は多い方がいいと思ったし、1人で広大な土地を検証するのは無理だと思ったからです。
Nさんは、「今となってはこんなことしかできないから」と言って、抱えるのがやっとなくらい、大きな花束を用意してくれていました。
私の運転で、3人は父の弔いと現場検証に向かいました。
やっと、父に会える。
現場は市内なので、車で20分くらい着きました。
埋め立て地を整備している最中なので、人はいません。
少し冷静になって、思い出してみます。
【現場検証】①現場の周り
・アップダウンのキツい片側4車線の巨大高速道路(一般道です)
・歩道がない
・お店が一軒もない(コンビニのみ約1km先にありました)
・バス停まで遠い(1時間に1本)
【現場検証】②敷地
・砂ぼこりがすごい(ダンプが通ったらエグい)
・広さ不明(1辺数km)
・雑草だらけ
・門扉のすぐ横に巨大な溝が2つある(父が落ちていた所)
【現場検証】③職場
・プレハブ小屋
・クーラーがついていた!!!(数日前に取り付けたらしい)
・冷蔵庫があった!!!(数日前に電気が通ったらしい)
・廃車があった(エンジンをかけてここで涼めと言われていたらしい)
続きます。