第二回『ボドゲの鉄人』開催のご挨拶
こんにちは。「ボドゲの鉄人」主催のワラビサコと申します。
この度、12月15日に第二回を開催する運びとなりました。
前回の4人×4チーム制とはうってかわって、今回は「個人戦」です。
なぜこのような大幅な変更をしたのか、その目的や意図をここでお話ししたいと思います。
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①ゲームの制作過程を見せたい
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普段、1人でゲームを作るデザイナーも少なくないでしょう。
結果的にたくさんの人数が関わって完成したとしても、最初のルール作りやシステム作りの所は、少数精鋭で行うのではと思います。
個人で制作した方が早くて良いものが出来ることはわかっていたのですが、それだと思考が表に出てこないので、お客さんから見ても何やってるかよくわからないですよね。
なので第一回では、チーム制にして複数人で制作を行うことで、会話が生まれてプロセスがよりわかりやすくなるのではと考えました。
そして、その制作過程を撮影することで、まだ世の中にはあまり無い映像を公開できるのではないかという期待がありました。
ボードゲーム制作の楽しさ、面白さを世の中に伝えることで、興味を持ってくれる人を1人でも多く増やしたかったのです。
ですが、前回は予算の関係もあり、カメラやマイクの台数と動画の編集のクオリティーを天秤にかけて、動画のクオリティーを取りました。
メインカメラ一台を中心に、各テーブルを回りながら撮影する方式にしたのです。
ピンマイクも、メインMCの柚井ゆいさんとカメラ横解説のフカセさんの2台しかつけておらず、各テーブルの声もあまり拾えないだろうということもわかっていました。
その時点で、動画の仕上がりがある程度ダイジェストっぽいものになることは想定していました。
▼第一回『ボドゲの鉄人』の動画はこちら
事前に想定していたものよりは、ずっとクオリティーが高いものが出来たという自負はあります。
ただ、各ゲームがどのような過程で作られていったか、どんな議論がなされたかなど、そのデザイナーの思考を記録することができなかったのは心残りでした。
この動画を楽しみに待ってくださっていた方の中には、その点を期待してがっかりされた方もいらっしゃったかもしれません。
なので次に開催する時は、もっとそこにフィーチャーした映像を撮りたいと考えていました。
そこで今回は、個人戦にしてデザイナーに向けて固定カメラを置き、ピンマイクをそれぞれにつけることができれば、制作の様子を終始記録できます。
16人のチーム戦で同じことをやろうとすると機材の面で色々と難しかったのが、これで解決すると思います。
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②持ち込み人材で個性を出す
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今回は助手を3人まで連れてきてよいとしており(※最低1人)、最低限の議論(思考の言語化)ができる状況を作ります。
この助手というのも、普段のサークルメンバーやボードゲームデザイナーに限らず、誰でも連れてきてよいとしているので、その人選次第では大きく制作物に影響を与えることができます。
前回の「持ち込み部材」ならぬ「持ち込み人材」です。
イラストレーターでもいいし、
建築士でもいいし、
脚本家でもいいし、
議論をまとめるのがうまい人でもいいし、
意見を信頼している友人でもいいし、
何なら大御所デザイナーでもいいのです。
それも全部ひっくるめて「個人の力」だと私は思います。
日本人クリエイターは、一人で完成させる職人の美学が強いように感じます。
ですが、手を組む人を増やしもっと協力し合っていく事で更なる大きな力になれると思います。
第一回開催時にチーム戦にこだわった理由は、そこの化学反応を見てみたかったからでした。
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③デザイナーにスポットを当てたい
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私事ですが、先日ドイツのエッセンで開催される「SPIEL」という世界最大規模のボードゲームイベントに出展してきました。
自分が持って行ったゲームはかなりニッチなジャンルなので、売れた数や金額はもしかしたら全ブースで一番少なかったかもしれません。
ですが、特に印象深かったのは、あちらではデザイナーに対するリスペクトがとても強いと感じたところです。
このゲームをデザインしたのが私だとわかると、握手やサインをたくさん求められました。
少なくとも自分は、日本でそういうことはほとんどありませんでしたので、特にギャップを感じられたのだと思います。
新作がどんどんリリースされる日本のボードゲーム業界においては、デザイナー自身の認知拡大やファンの増大が大きなプラス要因になると考えます。
インターネットの普及により情報がいとも簡単に手に入るようになり、どんな分野もコモディティ化していますよね。
まずいラーメン屋さんはほとんど見なくなったし、調べれば素人でもある程度のクオリティーが出せるかと思います。
そこで差別化できるのはもはや品質や値段ではなく、歴史や背景や想いだったりするので、これがどんなストーリーで、誰の手によって作られたかというところに、私たちは価値や魅力を感じるのではないでしょうか。
中でもボードゲームは、まだまだ人間の手によって作られる要因が大きいと思います。
これはあくまでも顔を見せろと言っているわけではなく、その存在にもっとスポットが当たるといいなと思っている次第です。
なぜ私がここまでデザイナーに対して入れ込んでいるかというと、元々自分はボードゲーマーだったわけではなく、6年前に文具好きが高じて文具を使ったアナログゲームを作った所から、この業界に足を踏み入れることとなりました。
ボードゲームカフェのデビューよりもゲームマーケット出展の方が先だったという稀なケースです。
なので、ボードゲームそのものよりも、デザイナーとの出会いの方がインパクトが強く、そこで皆さんの類い稀なる才能を目の当たりにしたことにより、彼らへの応援に熱が入るのも自然なことではないでしょうか。
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今回、選抜デザイナーにエントリーしていただいた方はご存知の通りですが、申請フォームの最後に同意を求める項目があります。
どんな些細なことでも、「そんな話は聞いていない」という所からトラブルの種になりやすいので、ゲームに対する運営側の取り扱いや意図を記載いたしました。
特に、デザイナーズノートの寄稿はどうしてもお願いしたかったので、エントリーいただいている方から同意を得られていてホッとしています。
文具を使ったアナログゲームBUNGU SQUADを作った時、(勘違いも甚だしいですが)私はこのゲームを世に広める義務があるのではという責任感に駆られ、突き動かされるように活動してきました。
そして今、あの時と同じ決意を固めています。
ただ大きな違いがあるとすれば、巻き込む人数の多さです。
たくさんの方々の信用と力をお借りしているので、もし何か問題が起きた時の影響は計り知れません。
正直な気持ちを白状すると、今とてつもないプレッシャーを感じています。
第一回開催時に大目に見てもらえたことも、二回目は見逃してくれないでしょう。
それと同時に、大きなチャンスでもあると思います。
ボドゲの鉄人が今後どう転がるかのターニングポイントになるのは間違いありません。
まだまだ至らない所だらけの若輩者ですが、微力ながら共にボードゲーム業界を盛り上げていけたらと思いますので、どうか皆さまのお力をお貸しいただけると幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
ボドゲの鉄人
主催者 ワラビサコ