コレクション

先日、仕事の用件で武蔵五日市駅まででかけた。
立川から青梅線を乗り継いで30分ほど。
終着駅の武蔵五日市駅は綺麗で、まだ新しさを感じさせる駅だった。
駅から秋川街道を山の方向へ気持ちよく歩くこと10分。そこで仕事の打ち合わせを済ませると、再び駅へ戻った。
まだ昼には少し速い時間だったが、どこかで茶でも出来ないかと辺りを見てみると、1件の喫茶店が目に止まった。
山猫亭と称するその店の店内はウッデイな内装だが古臭さは感じられない。
山岳関連の本や雑誌が置かれ、自転車が2台飾られているので、ちょっと人の良さそうな店主自身山好きなんだろう。

「カフェラテ、アイスできます?」席に着くなりおしぼりと水を持ってきた店主にそう訊ねると
「あ、あの少しお時間いただければ」と答える。
しかしさほど時間を要せずにアイスのカフェラテは出てきた。
飲みながらまた店内を見回す。

こんな店を見ると、僕の世代はもうひとつ思い浮かべるものがある。
昔、もっとウッデイな山小屋風の、山好き丸出しというような店に入った時、天井や壁にたくさん飾られていたのが、ペナント。
こういう店には大抵飾ってあった、お土産の定番。
最近もあるらしく、今でも愛好家はいるらしいと話に聞いたことはあるが、ほとんどその姿を見ることが少なくなった。

子供頃は例外なく僕も集めていた。
自分自身、学校の遠足や修学旅行などでも必ずお土産に買って行ったので、部屋にはそこそこの枚数のペナントが貼られていたものである。
コレクションの定番でもあった。

僕の父は建築士で、現場監督を務めていた。
あちこち地方の現場に常駐していた父は、週末に帰ってくる時はちょいちょいいろんなお土産を持ってきたものだ。
それはキーホルダーだったり、ペナントだっり、時には珍しい電車の記念切符とか(笑)
なので自然とペナントやキーホルダーが子供の頃のコレクションになって行く。自分でも買い集めていたので、特にキーホルダーは箱いっぱいにジャラジャラ言わせるほど溜まっていたりもした。

しかしどのコレクションもなんとも中途半端。長続きしない。
子供の頃はいろいろ収集した。幼い頃は王冠集め。王道の切手収集に、先にも触れた切符集め、ミニカーもそこそこ集めていた。
亡くなった祖母から貰った古銭をきっかけにコイン集めもしていたことがある。友達に影響されて鉄道写真を集めたこともあったっけ。
なんともポリシーがなく、なんとも冷めやすい(笑)

今は書棚にこれまた若い頃に集めた中途半端な数のマグカップコレクションが静かに微妙な空気感を醸したままじっと並んでいる。

しかしいつの間にかそういう収集癖(いや癖とすら言えないものなのだが)も無くなってしまい、今は何かを集めたいなんて思うこともスッカリ消え去ってしまった。他にいろいろ夢中になる物もあったからなのだろうが、それすらも長続きしているとは言えない。

がしかし、飽きっぽいっていうのはある意味楽しい。今となってはけっして悪いこととは思っていない。何ひとつ自慢できる物はないことが自慢。負け惜しみではない。いろんなものに興味を持ってちょっとずつ囓って味見(笑)

だから長くひとつのことを追い求め追求するマニアをとても尊敬はするのだが、僕はこれでいいのだ。
そんな事を思い起こさせてくれた、山猫亭でのひと時であった。
皆さんはどんなコレクションしてますか?



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