昨夜は綺麗な三日月だった。
ここのところ、台風や雨、多忙の為の私自身のゆとりの無さも手伝って、夜空を見上げる機会がなかった。
昨夜、夜に外出したこともあり、久しぶりに夜空を見上げた。
雲のないひんやりとした夜空に、綺麗な三日月が浮かんでいた。
それからしばらくして、スタッフからMさんの訃報が届いた。
私が、夜空を見上げていたちょうどその頃、Mさんは旅立たれたそうだ。
・・・
私はサテライト看護部門開設準備のため、途中でMさんの担当を外れることになってしまったが、その後もずっと気になっていた方だった。
途中から、Mさんの担当を引き継いでくれたスタッフも自問自答しながら、ずいぶん悩んだ様子だった。
時には彼女(スタッフ)の相談にのり、時には彼女と一緒にMさんの同行訪問もした。
そして彼女は、最後までMさんご夫婦に寄り添い、Mさんの旅立ちを見送ってくれた。
・・・・
20年ほどこの訪問看護という仕事を続けてきて、どれだけの方とお別れしただろう。
何度経験しても、お別れはつらい。
どんなに手を尽くしても病状が進み、人生を終える事に近づいていく方に対して何をどう答えてあげれば良いのか?
私が出来ることは何か?
看護師としての無力感さえ感じ、何が正解なのか自問自答の繰り返し。
たとえ、問いに答えることができなくても、
それでも、その問いから逃げないで側にいること。
そして、最後までかかわり続けること。
知識や技術や経験も勿論必須ではあるけれど、最終的に私を支えてきたのは、
「私は無力だけど、逃げない。」
そんな想いのような気がする。
「Mさん、
昨夜はとても綺麗な三日月でしたね。」
Mさんのご冥福をお祈りいたします。
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大切にされていることを、大切にしたい。