「私がこれからの人生でやりたい事」2つのうち、叶いそうだった1つが延期になった話。
訪問看護を始めて、かれこれ20年くらいになる。
私は「ただ長く現場での経験がある」ということだけでなく、日々変化していく医療や価値観にに対応できる知識が欲しいと思ってきた。
そして訪問看護師を始めた頃から「訪問看護認定看護師教育課程を受講したい」という思いを常に温めてきた。訪問看護業務実績が3年以上でないと受験資格すらない。カリキュラムは645時間、実習あり、終了後認定試験ありの長丁場だ。
結婚・転居・出産・子育て・子どもの受験や進学・仕事、といったもろもろの状況の合間を縫い、昨年はついに受験にチャレンジし、今月から受講予定だった。「私がこれからの人生でやりたい事」2つのうち、1つが叶う予定だった。
しかし、訪問看護認定看護師教育課程は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまった。4月下旬に中止の旨の連絡メールが届き、開講は来年度以降に先送りとなった。
5月から、週4日間は勤務をし、金・土は週末学生という多忙な1年間を過ごす予定だったのに。
入学式までの提出書類を整え、必要検査を受け、参考資料も購入し準備を整えてきたのに。
一気に白紙になってしまった気分だ。
今回、新型コロナウイルスの影響で先送りや、遅々として進まない状況に置かれている方は私だけでなく、たくさんいらっしゃると思う。
白紙になってしまった分の1年をどう過ごすか。
気持ちを切らさずに1年をどう過ごすか。
「もういいや。」と思ったら終わり。
「来年度、もう一度今と同じような気持ちでチャレンジします。」
自分で自分自身と約束をしたいと思う。
約束を忘れないために、受験の際に提出した志願理由書を貼っておきます。
私の訪問看護の原点は、子どもの頃に同居していた祖祖母が自宅で亡くなったことから始まります。主治医、家族、親戚が見守る中、祖祖母は自宅にて人生を終えました。祖祖母は祖母の介護を受けながら「人が老いて人生を終えてゆく姿」を私に残してくれたと思っています。それは、現在私が持つ「在宅療養のイメージ」であり、私の訪問看護師としての在り方にも影響を与えています。
その後、看護学生時代より「訪問看護」に携わることを目標にし、看護師となってからは臨床経験4年以降、在宅療養の現場に携わってきました。
当時はまだ制度整備も不十分であり、訪問看護の認知も浸透しておらず、学会発表をしても医師から「お宅の病院はよくやっていらっしゃるが、私たちにはとてもできない」というようなコメントをいただくような時代でした。
その後の医学や看護の進歩、法的制度の整備、訪問看護の社会的認知は目覚ましいものがあり、現在はご自宅にて様々な対応が可能となりました。
また、看護学生の訪問看護実習の機会もあり、新卒訪問看護師の支援も整いつつあります。私は看護師の採用面談にも関わっており、訪問看護師を志す20代の看護師さんとお話しする機会が増え、若い訪問看護師の育成の必要性を感じております。
年齢的に私自身が現場で看護実践を担う時間は限られ、副管理者としてスタッフ看護師に指導・支援する機会が増えました。看護は人と人のかかわりであり、私が訪問看護を始めた時代から変わらないもの、大切にし、より深める必要があるものを私の経験から伝えることは可能かもしれません。しかし、今までの私の経験と知識・経験と勘のみから発するのではなく、変化し多様化する社会や健康課題を捉える視点や、最新のエビデンスに基づいた専門的な知識・技術を学ぶことで、私が携わってきた訪問看護を再構築し、過去の経験のみにとらわれず、私自身も変化すべきところは変化をしたい。
そしてその学びをもとに、これからの訪問看護を担う看護師の育成に努めたいと考え、志望いたしました。
それから、「2つのやりたい事」のうち、もう1つは、まだ先のお楽しみになりそうです。
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