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訪問看護でお会いして、お見送りをした方々が「自分に何を教えてくれたか」を心に刻み、共に生きるということ

綺麗な三日月の夜に旅立たれた、Mさんの四十九日が過ぎ、私から担当を引き継いでくれたスタッフナースと担当ケアマネジャーの3人で、Mさんのご自宅にお伺いした。
・・・
ドアを開けた奥様の顔が「ぱっ」と明るい笑顔になり、「わー、懐かしい。来てくれてありがとう。」と私たちを招き入れて下さった。
すっきりと片付けられたリビングには、Mさんの柔らかな笑顔の遺影とともに小さなお仏壇があった。
山が好きで文章を書くことが好きな、Mさんらしい戒名。
最期のとき「夕焼けが見たい」と言われたMさん。
奥様が選ばれたのは、ほんのりやさしい茜色のお位牌だった。


「居なくなってしまったんだと、まだ思えなくて‥。」そう言いながら、奥様はひとつひとつ思い出すようにMさんのお話をしてくださった。

病気が見つかってからのこの2年間のこと。
私達が訪問看護でお伺いするようになってからのこと。
毎週、治療のための通院がとても大変だったこと。
奥様自身が体調を崩してしまったときのこと。
最期の数カ月のこと。

お2人が出会った頃のこと。
ずいぶん昔に2人で旅行に行ったときのこと。
これから、2人でやりたかったこと。

時には、笑いながら。
時には、ぽろりと涙をこぼしながら。


私達4人は小さなテーブルを囲みながら、いろんな話をした。

・・・

Mさん、そしてご夫婦で病気に向かう姿勢は、いろいろなことを私に投げかけてくださった。
訪問看護師としてできることは何か
訪問看護師として忘れてはならないことは何か
訪問看護師としてどうあるべきか
私が病気になったら、Mさんの様にできるだろうか
私の夫が病気になったら、Mさんご夫婦の様にできるだろうか
人間としての強さや弱さ

私はMさんから教わったことを忘れずに、心に刻みたいと思う。
私がMさんから教わったことは、これから先、私が仕事で迷った時や人生の決断をしなければならないような何かの折々に、きっと私の力になってくれるだろう。

それが、お見送りした方々と「共に生きる」という事なのかもしれない。

Mさんの過去記事はこちら☟
「昨夜は綺麗な三日月だった」   

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