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海をゆく

空海のいきた時代に自動車やフェリーがあったら。
ナンセンスな想像ですが、そう考えるのも面白いと思います。

「同行二人」。弘法さんはいつもいっしょ。
それならば、この旅もいっしょに楽しんでいただけたのではないかと思うのです。

瀬戸大橋を車で渡り、フェリーにのせて紀州へ。
二日間の旅で、空と海のエネルギーをいっぱいもらいました。

いま、化学工業の生産現場に勤めていますので、いつかは自然に還元できる知識をもって野に飛び出したいとおもっています。

現代の技術によって、旅をし、その記憶をもとに発信し、コミュニケーションをとることができていることは、奇跡のようです。空海さんもそう思っておられることでしょう。

陰と陽、色と空、無と有。

宇宙塵からできたこの世の中は、絶妙なバランスでなりたっていると感じるこのごろです。人生の半分を生きると、なんとなく世界を認める力というものがついてくるのかもしれません。「あきらめ」という人もいるかと思いますが、どうよんでも同じだと思います。

ぼくの父は、ぼくのいまと同じ歳に、極楽へ旅立ちました。
「明日があるかどうかわからない。」
33年前に知ったその法則は、いまもむかしもかわることなく、ぼくの心の中に刻み込まれています。


極楽へゆくまえに、何度でも海をわたって旅をしたいと思います。

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