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自信の心理学【Smart Stay SHIZUKU 品川大井町@大井町駅】(1/2)

 会社員を辞めて独立してから、もうすぐ丸2年が経とうとしている。その間、僕はWebコンテンツマーケターとしてさまざまなお客さんのお手伝いをしてきたけれど、実は自分が何屋さんなのかが最近になってよくわからなくなってきている。というのも、たしかに独立してから1年半ほどは主にその業務領域で生計を立てていたのだけれど、最近はその仕事の比率が下がり、それ以外に収益の柱ができつつあるのだ。
 それは株式投資である。といっても、僕が株を始めたのはここ1〜2年の話ではなく、今から約8年前のことだった。その当時はまだ会社員として仕事をしていたのだが、なんとなく「このまま自分で手を動かし続けていても先が見えなくなる時が来るだろう」と察知し、自分自身が働かなくとも不労所得を得る方法を探したのだ。そこで決断したのが、株式投資の世界に足を踏み入れることだった。

 それから数ヶ月間かけて、僕は会社員として働きながら毎月コツコツお金を貯め、目標金額まで種銭が用意できたところで初めて株を購入することになる。その銘柄は東京テアトル株式会社だった。僕は人生で初めて「株主」というステータスを手に入れたのだが、あの時の感動と興奮は今でも鮮明に覚えている。
 ただ、いざ株を購入したのは良いものの、正直なところ相場の仕組みやルールはほとんどわかっておらず、テアトル社についても「名前を聞いたことがあるから」「株主優待で映画を観れるから」という理由だけで買うことにした。
 結論、初めての投資は微妙な結果に終わった。テアトル社の株価はじわじわと下がってしまい、「そのうちまた上がるだろう」と楽観的に考えていたらそのまま数ヶ月が経ってしまったのだ。僕はテアトル社の株を買ったことで種銭のほとんどを使ってしまっていたので、なかなか他の銘柄に手を出すことができなくなり、だからといって株価が下がり切ったテアトルの株を売却すれば損失を確定させることになるため身動きが取れなくなった。いわゆる「塩漬け」状態である。

 結局、テアトルの株価は購入してから1年ほど経った時にようやくプラスに転換して、そのタイミングで売却をした。金額的には少しばかりの利益を手に入れることができたわけだけれど、その間の機会損失は大きかった。
 それから僕は会社に勤めながら株の勉強をして、株をやっている仲間にも出会い、そこで情報交換をすることで徐々にマーケットの仕組み自体は理解ができてきた。その中で、まとまった利益を生み出すことができた売買もあり、それが自信にも繋がっていた。「株は自分に向いているかもしれない」と思ったのもその頃だ。

 しかし、それからの数年間、自分のポリシーに従いながら株の売買をしていたものの、客観的に数字だけを見るとトータルでは「赤字にはなっていない」程度の利益しか生み出すことができておらず、徐々に自信が失われていくことになる。「知ったつもりになってる時が一番知らなかったのだな」と人間の心理について理解したのはその時で、これは一般的に「ダニングクルーガー効果」と呼ばれるらしい。

 その後、僕は2019年の夏ごろにさまざまな理由があって会社を辞めることになったのだが、おかげさまで独立してから順調に仕事をいただくことができたために可処分時間と可処分所得は増え、より株とちゃんと向き合うことができるようになった。とはいえ、2020年の3月ごろには世界全体で社会情勢が悪化したために株価も暴落し、僕の資産もいったん振り出しに戻ってしまったのだけれど、それを機にもう一度真剣に株の勉強を始めたところロジカルな売買ができるようになり、ここ数ヶ月間は株だけで一定の収入を得ることができるようになったのだった。

 サウナと出会ったのは、僕が会社を辞めて独立後、本腰を入れて株の取引を再開したタイミングとほぼ同時期である2019年9月のことだ。僕はサウナの魅力にどっぷりとハマり、身近にいる友人知人よりもサウナに詳しくなり、サウナのことを ”わかった” 気になっていた。
 ところが、僕は2020年5月にサウナ用のTwitterアカウントを開設したことをきっかけに、自分が井の中の蛙だったことに気付いた。日常的にサウナ愛好家の方々のツイートを拝見していると、その知識量や価値観の多様さ、そして全国にあるさまざまなサウナ施設のバリエーションの豊富さに驚かされ続けたのだ。

「サウナのこと、なにもわかってなかったじゃん……」

 サウナに通い始めてすぐの頃はサウナのことをわかった気になって周りの人たちと接していたけれど、それはサウナに詳しくない人たちを相手にしていたからであって、いざ視野を広げてみると自分がいかにサウナのことを知らなかったのか、その現実を突きつけられることになったのだ。
 ただ、考え方を変えれば、それは「まだまだサウナの世界を味わい尽くせる余地がある」ことを意味している。僕のサウナ人生は、ようやく始まったところなのである。

「そうだ。僕と同じように、新たなスタートを切ったサウナに行ってみようか」

 今日は4月26日(月)。僕は荷物を持って電車に乗り込み、大井町駅へと向かったのであった。

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ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
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#連続サウナ小説 『ボッチトーキョー』byナオト
①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます