黒川温泉・阿蘇の旅 2泊3日の記録♨2021.12.17~2021.12.19
1988年4月、小学校の修学旅行で訪れた阿蘇地方。
バスの車窓から観た阿蘇の景色に完全に魅せられた12歳の少年は、大人になっても阿蘇に通い続けたのでした。
1日目 2021.12.17
2016年4月17日。黒川温泉旅行を予定していた日です。
しかし2016年4月14日と4月16日、震度7を二度も記録するという熊本地震が発生。ここから、それまで社員旅行にはじまり家族や友人たちと、毎年のように通い続けた阿蘇そして黒川温泉への旅が途絶えるのでした。
その後、震災復興業務で熊本を訪れた事はありましたが、旅をする機会としては久々に黒川温泉を訪れる予定だった2019年、出発日当日に台風が豊後水道を北上するという有り得ない(笑)事態、そして新型コロナの大流行と何かに呪われたかのように訪問の機会を絶たれます。
しかし遂に、約5年ぶりに阿蘇・黒川温泉への旅が実現。旅の相方は素敵な…じゃなくオカンです(笑)ここにその旅の記録を残します。
今冬最強の寒波(自宅~佐賀関)
自宅から阿蘇・黒川温泉へは自動車で移動しましたが、道中国道九四フェリー(三崎~佐賀関)を利用します。ただ当時としては今冬最強の寒波到来という事で、西日本でも積雪の予報となりました。前日までは穏やかな天候がタイミングの悪い事に、気温が徐々に下がりはじめ風も急激に強くなりました。
瀬戸内海しかほぼ知らない身としては、この波の高さやうねりは地獄です(笑)まあこの航路は比較的よく揺れるんですが…。
九州上陸(佐賀関~南小国町)
荒波での航海を乗り切り遂に九州上陸。ここからの車窓はよく知るところです。ここから高速道路で大分市街や別府湾を眼下に、一気に九重ICまで走行するわけですが、とにかくもの凄い暴風でした。この区間、別府湾や由布岳をはじめとする山並みなど、それはそれは最高の車窓なのですが2トン近いミニバンが余裕で半線分横に流される状態。
でも、やはり大分から別府、そして由布岳を見ながら九重への路線。景色は最高ですね!途中、由布岳PAへ寄りましたが気温1℃で強風。でも空気が美味い。
いつもなら由布院ICで降り、やまなみハイウェイを黒川温泉方面へ南下、途中長者原の絶景を満喫しつつ…。というのがお約束ルートだったわけですが、今回、南小国町の観光プレミアムチケットを運よく入手できたので、チケット受け取りのため、九重ICから南小国町物産館「きよらカアサ」を目指します。
途中、国道の側溝から温泉の湯気がもうもうと出ている光景に
「すげーーー!やっぱすげーぞ熊本♨!ヤッホーい」とかオカン共々ハイテンションになりつつ(笑)南小国物産館に到着。ここから黒川温泉はすぐそこです。
黒川温泉1泊目 南城苑
いよいよ黒川温泉へ。1泊目は旅館南城苑さん。
初めて黒川温泉を訪れたのは今から約20年前の社員旅行でした。当時黒川温泉は入浴手形がブレイクし知名度はすでに全国区、予約困難な人気温泉地でした。この初めて訪れた時から、その街並みに感動し常連化(笑)新婚旅行も黒川温泉でありました。
南城苑は友人たちとの旅で過去1度宿泊した事があったのですが、今回の旅の最大の目的がこの南城苑に泊まる事。
2016年の熊本地震。この大きな震災で黒川温泉も他の温泉地と同様被害を受けた中で、この南城苑は特に建物に大きな損傷を受けてしまい再築された経緯があります。このニュースは自身衝撃的で、かつての黒川温泉へ完全復興への願いをTwitterで何度も呟いていたところ、まさかの返信をくれたのが南城苑さんでした(笑)
当時黒川温泉で唯一長期営業が不可能な中、大変な時期だったと思います。それでも前向きな返信を多数残していただきました。だから、復興した南城苑に宿泊して遅くなったものの黒川温泉完全復活をこの目で確かめる事が重要だったわけです。
この南城苑は、黒川温泉旅館組合に隣接していて、その駐車場を利用できます。この駐車場というのが温泉街散策の起点となる場所で、黒川温泉最強クラスの立地です。
南城苑はその立地から、黒川温泉街を一望できます。北側からは地蔵湯。西側からはいご坂などがよく見えます。
そして客室は半露天風呂付客室。この半露天風呂からの眺望も最高でした!またお湯も今まで入った事のないようなお湯。木製の格子窓から時々雪が吹き込んでくる中、まったく寒さを感じない芯まで温まるお湯。
夕食は旅館組合の駐車場が一望できるお食事処にて。ライトアップされた木々と翌日から始まる湯あかりの試験点灯の明かりと、さらに降り続く雪。今回の旅では寒波に見舞われましたが、実はこれが最高の体験を生みます。冬の黒川温泉は実は初めてでしかも雪景色。貴重な時間を過ごせました。
2日目 2021.12.18
やっぱり温泉といえば朝風呂。昨夜からダラダラ部屋で過ごしては温泉の繰り返し(笑)部屋付き半露天風呂だからこその特権。寝心地最高のベットで1年で最高の睡眠から覚めて、そして障子を開けて黒川温泉の景色と朝の空気を…と思った瞬間、おおおおお!
あか牛丼・ステーキの「やま康」へ
2日目。朝食で朝から満腹チャージ。実は連泊したかったのですが、予約した時に同じ部屋が予約で全て埋まってしまっていたので、残念ながら南城苑とはこの日でお別れ。
南城苑さん、コロナ禍でサービスにどうしても制限がある中、それでも暖かい接客、思わず「帰りました」と言ってしまいそうな旅館の雰囲気とスタッフさん。日頃の疲れや心配事などを一気に吹き飛ばす、黒川温泉一旅館の中の旅館。オカンも大満足でありました。南条苑さん感謝!
さて黒川温泉を一度離れ、2日目のメインイベントあか牛とステーキを食すためあか牛料理専門店やま康を目指し南下開始。黒川温泉からだと車で1時間弱の道のり。
途中、かつて三愛レストハウスという名称だった瀬の本レストハウスへ。小学の修学旅行のしおりの表紙は、この瀬の本レストハウスの特徴的な屋根と大自然の景色でした。当時お土産もここで買った思い出。
ちなみにここの「牛串」550円(税込)は、見た目ワイルド(笑)ですが結構美味い一品です。
そして、ギザギザな山体が特徴の根子岳を眺めつつドライブを楽しむとやま康に到着です。
待ち時間は約1時間。数量限定のステーキも注文できました。ネットでは2時間以上の待ちもよくあるとの事でしたが、恐らく冬季で観光シーズンから少し外れていたからかなと思います。
そして…
美味い!
美味い!!やわらかい!ジューシー!
もう満足であります(笑)
数鹿流崩之碑展望所から道の駅阿蘇へ
やま康であか牛料理を堪能した後は、南阿蘇をドライブ。阿蘇登山道を北上し草千里を経由し「道の駅阿蘇」を目指そうと思いましたが、どうやら阿蘇山頂、草千里付近の霧が濃く視界が良くないという事で、阿蘇を一周する事にしました。
途中、震災から再建された新阿蘇大橋を通り国道57号へ抜けます。ここは熊本地震で大きな被害があった地域の一つで、震災後熊本入りして見た当時の光景に絶望したものです。震災前に何度も通った道、何度も見た山々が豹変しかつての遊び場だった面影はなくなっていた記憶。復興業務という仕事では来たくなかった場所です。
そして新阿蘇大橋からしばらく走ると数鹿流崩之碑展望所がありました。旧阿蘇大橋があった場所。そして不幸にもこの橋の崩落で犠牲になった方がいた場所。約5年ぶりに訪れたこの場所でオカンと二人黙とう。阿蘇が見せる豊かな自然と厳しさ。そしてそこに暮らす人々の営み。温泉や食べ物もそのその恩恵であること、そしてその豊かさや厳しさ全て含めて阿蘇だという事を改めて知る。この旅で貴重な時間となりました。
お次は人気の道の駅阿蘇に立ち寄ります。ここではお土産を購入。近くの阿蘇駅にはあの有名なリゾート列車ななつ星が停車し、利用客専用のレストラン「火星」があるので、ちょっと遠目から覗いてみたりしました。
道の駅阿蘇はとても活気のある道の駅でした。
再び黒川温泉へ2泊目 月洸樹
道の駅阿蘇で買い物を済ませ、再び黒川温泉目指しやまなみハイウェイを北上。途中大観峰へ寄る予定でしたが寒すぎるのでキャンセル(笑)まあ、また今度!
黒川温泉連泊を計画していたものの、1泊目の南城苑連泊が難しかったため、夜な夜な旅行サイトを睨めていたある日、突然あらわれた黒川温泉の旅館「月洸樹」
18日は土曜日でもあり、黒川温泉の名物イベント湯あかり開幕日とあって予約は出発日が迫るごとに困難に。今まで泊まった事がない旅館を第一希望に探していたところ、恐らく急なキャンセルで予約サイトに出てきたと思われる月洸樹さんを即予約。月洸樹は黒川温泉で一番新しい宿なのです。
正直なところ予約してすぐ思ったわけです。
お高い(笑)!!!!!
1泊目の南城苑さんが二人で約6万円。これも手ごたえ十分なお値段ですよ(笑)しかしこの月洸樹さん、二人で約12万円です。パンチ効きすぎっす!
しかもまだ出ていない賞与を勝手な妄想で強気セルフジャッジして、OK!問題ない!多分…。ええい行ってしまえ!な無謀な旅(笑)
でもね、値段じゃないんだよね。自分にビシッとフィーリングが合った宿がベスト宿!それが安いか高いかなんて大した問題じゃないわけです。お気に入りの宿が見つかってその宿が高くてもさ、また泊まれるように頑張るだけ。もし色々あって懐苦しい時は、また泊まった日のことを思い出して憧れ続けいつかまた宿泊して喜びを爆発させれば良いのですよ。
黒川温泉には様々な宿がありますが、全てが本当に素晴らしいんです。入浴手形も駆使して皆さんお気に入りの宿、見つけてみてはいかかでしょうか。
月洸樹の露天風呂は、前泊の南城苑の半露天風呂から一転、自然豊かな景色が楽しめるロケーション。
お風呂から出て風にあたり、また少し冷えたらお湯につかるルーティーン。極上のひと時。完全にダメ人間の出来上がりであります(笑)
月洸樹に宿泊日した18日、黒川温泉では10周年の湯あかり開幕でした。しかしながら、立地が少し湯あかり会場の温泉街中心部から離れているため、湯あかり見学は諦めていたのですが、月洸樹では敷地内に湯あかりを再現。宿泊した離れの玄関を出たすぐの夜の光景が素晴らしかったです。
月洸樹の夕食と朝食は、客室内の囲炉裏のある食事処にて。
スタッフの方がタイミングを見て料理を運んできてくださいます。とても美味しかったです。
1泊目の南城苑さんと2泊目の月洸樹さんの、夕食も朝食も素晴らしかったです。敢えて写真で紹介しませんし撮ってません。もし機会があれば宿泊していただいた時のお楽しみにして頂ければ。料理は旅館の最大の見せ場でもありますから。それが最高の楽しみ方だと私は思いますので。
3日目 2021.12.19
名残惜しいですが、黒川温泉ともお別れ。旅行の一番つらい時間であります。本当に今回の旅は「癒された」というもんじゃなく、コロナ禍でのもやもやも疲れも全て温泉に流し、疲労も全て吐き出せました。
実はこの旅の最終日、雪が一番降ってたと思います。月洸樹さんのチェックアウト時間である11時までギリギリ楽しんで、周辺道路のライブカメラを見ていましたが、どうもやまなみハイウェイは残雪か凍結部分がありそうと判断し、来た時と同じルートで帰る事に。
月洸樹さんでは帰り際、あか牛バーガーをお土産として頂きました。このハンバーガーを途中由布岳PAに寄って、由布岳を眺めながらお昼ごはんとして食べましたが美味しかったですよ!
月洸樹からの帰り、もう一度黒川温泉の駐車場に車を停め、温泉街で買い物しました。
復路の国道九四フェリーは穏やかな波で、静かな航海でした。
旅の終わりに
今回、南城苑さんや月洸樹さんの皆さん、非常に親切にしていただき有難うございました。熊本地震の被害から復活した黒川温泉を見に行く旅。一生の宝となりました。
しかしながら現在、黒川温泉はじめ多くの宿泊施設が、新型コロナ禍という大災害に再び見舞われまたしても困難な状況であると想像できます。
しかしそんな思いを一切気にしなくなるぐらいのおもてなし。心から旅を満喫させてもらえたプロのおもてなし、人間味あふれるおもてなしい感謝します。
今回出会えた皆さん、どうかお元気で!!
また来ますから。
旅のお会計(概算)
南城苑宿代 60,000円
月洸樹宿大 120,000円
フェリー代 20,000円
高速代 5,000円
お土産代 20,000円
ガソリン代 10,000円
旅の思い出 priceless
合計 235,000円