現代アニメ評論家がアニメについて語るスペースに参加した結果…
※この文章の内容はフィクションです。小説としてお楽しみ下さい※
陰キャは嫌いなものが多い
かく言う私も嫌いな人というは数え切れない位多く、SNSをやっているとそういう人間が可視化され易い。本当に困った話だ。
私の嫌いな人物にTという人物がいる。
彼はTwitterのスペースを毎晩開催しており、何やらそこで議論の場を提供しているらしい。 「朝まで生テレビ!」、通称朝生を意識しているみたいだ。
(私は朝生に興味がなく、見たこともないし、どちらかと言えば嫌いな部類に入る番組である)
私が彼を好きになれない理由は幾つもあるが、大量の札束を映して「あなた達にお金を配りますよ」と言ってみたり、電凸してする動画を撮ったり。要は品がなく、人として尊敬出来ないのだ。
その上、人の喧嘩を再生数に変換し、「俺が人を集めている」としたり顔で語る始末。
初対面なのに生配信の同接でマウントを取ってきたりと、礼節という言葉を知らないタイプの様だ。若しくは自分が捨てられない為に数字を自慢することによって、存在価値をアピールしているのか。何れにせよ可哀想な人間である。
通常ではまず関わり合いになりたくないTだが、ひょんなことからTwitterを交換する仲になった。
所謂外圧である。私個人としては嫌いな相手でも私が関わっている人間が関係していると関わらざるおえないのだ。それは仕方のないことである。
ある日、仕事仲間からDMが送られてきた。
アニメや漫画について語るスペースをやるので、是非モザイクに来て欲しい、とTが言っている。良ければ参加して欲しい。と
うーむ、非常に参加したくない。
先述の通り私はTの様な人間を嫌悪しているからだ。
1度誘いのDMがあったが、以降は理由をつけてスペースの参加はお断りしている。
しかし、私には、仕事仲間と言っても上司的な立ち位置にいるその人を立てるという役割がある。また、くだらないN国の話ばかりしているTがアニメの話をするのは、私に対する譲歩、気遣いであるとも感じた。
ルーティーンが入っていたので、それを処理した後に顔を出す程度なら構わないだろう。
「遅れますが、それでも良いのなら。」
そうして私はそのスペースに参加することを決めたのだった。
それから数時間後、スペース開始から30分遅れで参加した私は衝撃を受けることとなる。
まず、仕事仲間がスピーカーになっていない。
アウェイだらけなこの空間で、突然話を出来る程のコミュニケーション能力、陽キャ力は生憎持ち合わせていない。
仕事仲間はこういう場でも億せず話せるタイプなので、話を繋いで欲しいと思った私はワガママだろうか。
Tを司会にアニメの話が進んでいく、ガンダムの話をしてたみたいだ、
「こんばんは、ガンダムの話ですか?」と私が聞くと
「いえ、何でもアニメの話なら」
要領を得ない回答が返ってきた。
今はガンダムの話をしているのか?と聞いたつもりなのだが、私の言葉足らずなのか、会話が通じなかったらしい。
ここで
「はい、今はガンダムの話をしています」
という回答が欲しかったのだか、想定外の返答に私の頭は混乱する。
ガンダムの話をしていると返してくれれば、それに合わせ、ガンダムについて多少話をするつもりだったのだが、話を振ってくれない。
そのまま会話に聞き手として参加することにした。
その後、
Tから「どんなアニメが好きなんですか?」
やっと話を振られた。
「逆張りが好きなので、異世界モノとかよく見ますよ。」
T「え、てっきり流行っているものなのかと思ってました」
イマイチ会話が噛み合っていない。そこで会話を終わらせられても困るんだが…と、内心思いながら作り笑いを浮かべる。
話は異世界系からガンダムの話に引き戻される。
それに対してある一人の話が少し長いと
「〇〇さん、話長過ぎます。この下りいります?」とTが毒づく。
いや、この下りこそ要らないだろう(笑)
Tは毒舌キャラだそうで、ズケズケとした物言いで人に踏み込んでくるきらいがある。
仕事仲間がスピーカーに上がった。内心やっと上がってくれたと思いながら、聞いていると、彼が突然話を始めた。
表現が難しく、前後の文脈との連続性を理解するのが凡人にはハイレベルだ。かく言う私も凡人だが、Tにとっては殊更それを聞くのが苦痛だったようだ。
「あのさぁ…、ここ最低限の常識は求めている場なんですけど。」突然私の仕事仲間への公開説教が始まる。
「あなた、遅れてきて、コロナだか風邪だか知りませんが、事前に謝罪するのが筋なんじゃないんですか?」
言ってることは尤もらしいが、録音されており、YouTubeでもアーカイブが残るこの配信で突然相手の非を攻撃するのは、あまりにも度の超えており、パワハラだ。
何より、上司が怒られていると、私が困る
そんなことも想像がつかないものなのか。
案の定仕事仲間は「モザイク、どうにかしてよ笑」
アウェイだらけのこの場で、借りてきた猫状態の私にどうしろと?唐突なパワハラに思わず面食らってしまうが、それでも追求を止めないTには寧ろ呆れを通り越して感心してしまう。
「この下りいります?」とか言っていたのは、どこのどなただったのか…
「いやー、自分コミュ障で陰キャなので荷が重いっすよ〜」
自虐ネタをかまして弱者ポジションを確立する。
これが仕事仲間を立てつつ、Tを刺激しない最良の方法だ。
話は移り、鬼滅の話になる。
「モザイクさんは鬼滅の刃好きなんですか?」
ここでボケようと口を開く
「いやーホントに申し訳ないんですけど…」
続きを言おうとした私にTが無理矢理被せてくる。「良いんですよね。私の配信ではですね………
唐突な配信論と自分語りが始まる。
……と言うわけで鬼滅の刃が嫌いな方でも、私の配信は来ていただいて結構ですよ!」
いや、嫌いなんて一言も言ってないんだが、決めつけてきて気分を害される。
「いや、嫌いとかではなくて、アニメ見てないんですよね。」
Tは「え、見てないんですか?」
ここからツッコミがくると思いきや、ツッコミが来ない。
「はい、中田敦彦の解説は見たんですけど、それでお腹いっぱいで」
もう一度ボケてみる。
しかし、食い気味に
「モザイクさん、いじめられませんか?」
Tが突然爆弾発言を投下する。
それはツッコミとは言わないんじゃあないのか?
自分はてっきり「いや、見てないんですか!面白いですよ。」「ファスト視聴じゃないですか、中田敦彦版見るんですねw」みたいなツッコミやそこからの話の展開を期待していたのが、唐突なマジレス。
鬼滅を知らない俺がヒール役になって、鬼滅の刃のストーリーや好きな章、好きなキャラクターについて各々が話す流れを作ろうとしていたのだが、司会者の暴走によってその計画は破壊されてしまう。
しかも、ド失礼なヤツを直球でぶつけてきた。(何度も言うが話すのは今回で話すのは2回目だ)
「そうっすね。イジメられてましたね。」
「でしょうね、ワンピースも見てないんですか?」
「映画だけ、学校の修学旅行の帰りのバスで見ましたね…」
漫画の一巻を読んだのがノリが合わずに挫折したネタを挟もうとするがTが無理矢理言葉を被せてくる。
「それはいじめられますね。」
「逆張りでトリコなら見てましたよ。面白かったです」(トリコなら知ってる人いるだろ…)再び会話のフックを出す。
しかし、Tは頑なに拾わない。
T「アニメ400作品見てるんですよね?」
「はい」
T「その中に鬼滅もワンピースも入ってないのですか?」
「そうですね」
T「みんなが知ってるのは知らない、でもそれ以外は詳しいと」
「はい」
T「そりゃ、いじめられますね」
「いじめられてましたね」
T「変わってますね」
「はい、ありがとうございます」
T「ホントに変わってますね」
「はい、ありがとうございます」
T「いや、ありがとうじゃなくて…」
「何て言えば良いんですか?、ありがとう以外に返す言葉が見つからなかったのですが」(コイツ何言ってんの??)
T「はい、ありがとうで良いんですよ。間違ってないですよ」
その後も自分の好きなアニメについて語ろうとすると「そういうことじゃないです」
Tに遮られてしまった。
どうやら、わざわざ自分から人づてに呼んで、私をこの場まで来させておきながら、私に話をさせるつもりは毛頭ないらしい。
こうやってスペースの参加者を増やすのか…ひじょーうに勉強になった。
話はジョジョの奇妙な冒険についての話に移った。もう一人の仕事仲間が、仕事仲間が過去に話したジョジョの話を、真似して話したり、それに対して別のスピーカーが応答したりと会話が続ていく。
私の代わりに喋ってもらえて本当に助かった。
話がジョジョと哲学を紐付けた抽象的なものに移っていく。
その瞬間Tが吠えた。
「いやぁー難し過ぎますよー。そういう深い話は別の回でやって下さいよ。今回は好きなキャラとかそういうのでしょ」
また、トンデモ発言が飛び出す。
どうやら今回は好きなアニメや漫画についてなら何でもござれではなく、好きなキャラについて話す時間だったらしい。
そもそも何のアニメについて話すのか、どんな切り口で話すのか全く決めず、テーマが抽象的である事も問題だ。具体性がないとどんな話をして良いのかわからないし人それぞれ話したいことがバラバラになる。
そうなると、回に何度も出席していて、その場に馴染んでいる人間が持つイニシアチブに左右されることになる。こうした構造上の欠陥があるのに加え、人が話し始めるとそれに横槍を入れる。一体この人間は、どれだけ司会者としての適性が低いのか。他人の揚げ足を取ることでしかアイデンティティを確保出来ないのか。非常に不快である。(ブーメラン)
アニメの好きなキャラについての話をしたいのならば、貴様が「ジョジョの好きなキャラって何なんですか?」と聞けば良いだけの話だ。
それも出来ずに、テレビの司会者を気取りで毒舌キャラを演じる自分に酔っているTを見ていると、腹わたが煮えくり返る様な思いだった。
私はジョジョの話に参加出来なかった。それ自体は全く問題ないのだが、ガンダムにしろ、ポケットの中の戦争にしろ、鬼滅にしろ、ジョジョにしろ、ストーリーも登場人物の解説もなく、知らない人はただただ聞いていてつまらないだけと感じる。
仮に私が、蜘蛛ですが何か、というアニメの話をするのであれば、必ずストーリーかキャラの説明をいれる。自分の一人配信や動画の時であればストーリーにあまり触れず、それが伝えたいメッセージ等の解釈から入ることもあるが、複数人の会話やスペースなら絶対に説明をいれるだろう。
前提知識のない人でも会話に参加しやすい導線を作ってあげること。それがお互いにとって大事である。
司会者Tはコミュニケーターとしては2流3流と言わざるを得ないと感じた。
そうは言っても、私のアニメの知識が偏っており、コミュニュケーション能力も欠けていることは、紛れもない事実だ。向き不向きはあれど改善をしようと決めた。
また、Tという人間、Tが開くスペースは大変不快な時間であることを再認識出来たという意味でも、学びがあったことは確かだ。もう二度と参加することはあるまい。
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